アメリカ 2015
監督、原案 ジョシュ・C・ウォーラー
脚本 ダニエル・ノア

アクション女優ゾーイ・ベルが主演している、というのがちょっと気になって特に大きな期待もなく見てみたんですが、決して大きくない期待すら満足させてくれない出来でどうにもこうにも。
とりあえず日本側の担当者が用意したのであろう、キャッチコピー「この女、絶対に死なない。麻薬組織の標的にされた、女戦場カメラマンのエイヴリー。 敵は完全武装のゲリラ部隊、武器は1本のナイフだけ …」ってのは嘘っぱちです。
確かにゲリラに追われはするが、武器がナイフ1本だけなのは最初の30分ほどだけ。
その後はちゃんとライフルと拳銃で武装。
そもそもが、超人的肉体能力を持つ女がジャングルで兵士相手に男顔負けの肉弾アクションを演じる、ってな映画じゃないんですね。
肉体は鍛え上げているっぽいが、普通に戦場カメラマンである女性が圧倒的に不利な状況の中、いかにしてゲリラから逃げるか、ってのが主筋になってる作品なんです。
決してアクションに特化しているわけじゃない。
ゾーイ・ベルをキャスティングしておきながら、なぜこんな中途半端なことをやらかすのか、私にはどうにも理解が出来ません。
多少荒唐無稽だろうが、非力なはずの女がありえない強さの怪物だった、ってな風に物語が転ぶからこそカタルシスも得られるわけで。
いや、そうじゃない、スリリングな逃走劇にしたかったんだ、と言うなら、危地の潜り抜け方に工夫がなさ過ぎるし、あまりに運任せな展開が多すぎる。
要はどっちつかずなんです。
男相手に三角締めを披露したかと思えば、次の窮地じゃやられるがままだったりするし。
肝心なシーンで小細工丸出しのおかしな映像効果を多用してるのも気になりました。
それで演出のつもりなのだとしたら、まるでわかってない、としか言いようがない。
敵のボスがやたらと意味なく饒舌なのもやりすぎ。
なんの哲学も思想もなくベラベラしゃべらせたところでタランティーノにはならないわけです。
逃走劇の顛末はそれなりの仕立てで悪くはない、と思いましたが、まあ、総合的に見てやっぱり凡作でしょうね。
1ヵ月後には忘れてると思います。
残念。