フランス 2014
監督、脚本 リュック・ベッソン
リュックベッソンに関してはニキータ以降、全く期待することのなくなった私ですが、それでもですね「彼自身の監督作品で過去最大のヒットを記録した」というのを聞くとやはりちょっと気になってくるわけです。
人間は脳の10%しか使っていない、という雑学レベルの豆知識ついては「なにを今更」ってのは正直あります。
そんなの50年前からSFの世界では小ネタとしてあちこちで使われてきたわけで。
問題は、その手垢にまみれた題材をどう料理してくるか、と言う部分なわけですよね。
私がこりゃだめだ、と思ったのは、なるほどと思えるようなうんちくが疑似科学のレベルですら語られてない、という点と、何故脳の活動領域が広がるにつれてLUCYはサイキックになっちゃうんだ、という点ですかね。
お得意のマフィアを絡めたシナリオ展開もLUCYが無敵すぎて全く意味をなしません。
何かを暗示するかのように挿入される自然界の映像も、わかりやすすぎてむしろあざとい。
最大の失敗は覚醒するにつれて無表情に、非人間的なっていくLUCYを描いたことによって、肝心のスカーレットヨハンソンが全然素敵に撮れなかったことではないでしょうか。
ただそれでもこの作品、SF的手法に忠実に、段階を追って変貌していく人間をじっくり描写した、と言う一点において、スリリングであったことは否定できません。
前述したように、これはどうなんだ?と思うところは満載です。
しかし「想像できないものを想像しようとする挑戦」として考えるなら、どこか興奮させられた自分もいたことは確かです。
終盤「時間」にまで言及したのは、おおっ、と思った。
まあ、そこからさらに踏み込めなかったのは残念でしたけど。
すくなくともフィフスエレメントよりは私は楽しめました。
穴だらけでじゃーじゃー水漏れしてるのは間違いないですが、SFが好きな人にとってはどこかくすぐられる一作になるのでは、と思ったりもします。