レイリ

2016年初出 室井大資/岩明均
秋田書店チャンピオンコミックスEXTRA 1~2巻(全6巻)

家族を無残にも惨殺された過去を持つ、死にたがりの少女レイリの数奇な人生を描いた戦国絵巻。

ま、なんせ原作が岩明均ですんで。

そこは信頼してもいいと思うんです。

今の岩明均なら、生ぬるい時代劇モドキでお茶を濁すようなことはまずしないだろう、と。

きっと骨太に物語は展開していくはず。

なのに、だ。

なぜか2巻から先に手が延びないという。

作画を担当する室井大資の絵柄があんまり好みじゃない、というのはあるんです。

いや、好みの問題じゃないな、なんだろ、人物のタッチは濃厚なのに、それ以外がやたらスカスカに見えるのが気持ち悪い、というのが正解か。

実際、背景の描き込みは恐ろしく簡略化されてます。

これが画風なのか省エネなのか、判断しにくいんですけど、戦国時代劇という過去世界を描くにあたってリアルさを遠ざけているのは確か。

人物の出で立ちとかもちろん大事ですけどね、それ以上に軒先へ吊るされた草履とか、乾物とか、そういった生活感を感じさせる描写がとても大事だと私は思うんですよ。

読んでる限りでは「どうとでもとれる」絵面なんですよね。

戦国ならではの異世界感を喚起しないんです。

あと私が気になったのは、死を渇望する少女が自分から「戦って戦って最後は立派に死にますから!」などと口にするだろうか?という点。

そういう感情って、内に秘めるものなんじゃないか、という気がするんですよね。

なにかのはずみに吐露してしまうことはあるかもしれないですけどね。

能動性の高い死への執着って、なんだか違和感があって。

それって結局は「死にたくない」の裏返しでは?と思える。

だとすると、この先の展開は生き抜くことへの讃歌でまとめちゃうしかない。

先が読める、というか。

わかりませんけどね。

結局のところ、2巻までの段階で私はあんまり引き込まれてない、ってことなんだと思います。

良いとも悪いとも言えないですね。

おそらく、レイリがどう変わっていくのかが読みどころになると思うんですが、6巻で完結なのを鑑みるに、それほど予想を覆すオチは待ってない気がしますね。

また何年後かに続きを読もうと思う日も来るやもしれません。

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