オーストラリア 2013
監督 ジョン・カラン
原作 ロビン・デヴィッドソン
1977年、オーストラリア西部の砂漠をたった一人で7ヶ月かけて踏破した女性、ロビン・デヴィッドソンの回顧録を映画化した作品。
はっきりいって主役のロビン、相当な変わり者です。
映画が原作にどこまで忠実なのかはわからないんですが、私が見た限りではロビンに過酷な一人旅を決心させるだけの大きな動機、って作品では描かれてないんですね。
なんか家庭環境は複雑っぽい。
人嫌いっぽい感じでもある。
77年ですし、遅れて伝播したフラワームーブメント的なものも影響してるのかな、と思ったりもしたんですが、それにしちゃあ挑戦があまりに見境なさすぎる。
そのまま砂漠で野垂れ死んでもいい、と言うわけでもなさそうですし、そのあたりの不透明さも影響してか、主人公に共感しにくい、という面はあると思うんです。
内容自体も高いストーリー性や起伏に富んだ展開があるわけではない。
小道具やデティールにこだわって決死の道行きにリアリティを持たせているわけでもない。
ただ、延々とラクダを引き連れた女が荒地を歩く姿が描写されるだけ、と言っていいかもしれない。
でもそれが、何故か妙な疎外感をともなう孤高を持していて、不思議に見る側の集中力を途切れさせないんですよね。
これは監督の手腕によるものが大きいのかもしれません。
あまりに長い間孤独な移動生活を続けると、人は軽く退行してしまう、と暗示するようなシーンもあって、なにかを成し遂げる尊さばかりが強調されてないのも私はいいと思った。
前述したように彼女をそこまで突き動かしたものがはっきりしないんで、観終わった後に感動が待っている、なんてことはないんですが、ここまでやった女が居た、という事実そのものは余計な脚色を排除して肌感覚で伝わる作品だったように思います。
ちょっと言葉で表現しにくい映画でしたね。
大きく心揺さぶられた、と言うわけではないんですが、どこか印象に残る一作ではありました。
旅に心ざわつく人はなんらかの感銘をうけるかもしれませんね。