KEYMAN

2011年初出 わらいなく
徳間書店リュウコミックス 1~10巻(全13巻)

アメコミヒーローものの世界観そのままに、呪術やら魔術やら獣人やらあれこれ放り込んでぐつぐつ煮込んだような作品。

最近はアメコミの影響を直に匂わせる漫画もあまりないというのもあってか、架空の都市ロックヴィルをバットマン風に脚色すると見せかけて超人の存在そのものが異形である、とした物語作りは、見慣れた器に全く違うものを盛ろうとする意気込みに溢れてて、なかなか斬新であるように感じました。

超人KEYMANとは目的を達するための副産物であり、本当は二重螺旋の世界の扉を開く存在である、とした大風呂敷の広げ方もSFマインド豊かで良かったように思う。

キャラの立て方も達者。

どう展開していくのだろうと、引き込まれていくものは第一話の段階から確実にありましたね。

ただですね、そのテンションが7巻ぐらいからちょっと怪しくなってくるんです。

これは構成力、と言ったほうがいいのかもしれない。

せっかく張り巡らした謎や伏線をなぜか作者は小出しに解き明かしていくんですね。

物語の終盤ですべてが明らかになり、劇的なクライマックスを迎えるのがセオリーかと思うんですが、チラチラと真相をほのめかした挙句に、9巻ぐらいからもう一度、おさらいでもするかのように明かした真相をリピートする、というわけのわからないストーリーテリングを作者はやらかすんです。

これはさすがにいただけない。

連載を延長してくれとでも編集部に懇願されたのか?と勘ぐってみたりもしたんですが、それにしたってやり方が下手すぎる。

いわゆる総集編状態になってしまってるんです。

好意的に解釈するなら、さらに予測を裏切る仰天のオチのためのインターバルという見方も出来るかと思うんですが、読み手としてはそのせいで集中力が途切れてしまう。

うーん、なんでこんなことしてるんだろうなあ。

間違いなくおもしろかっただけに残念。

こういうのが一番困るんですよね。

うーん、続巻を購入すべきか、否か・・・。

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