カナダ 2009
監督、脚本 グサヴィエ・ドラン
近年、若き天才、と注目されるグサヴィエドランの長編デビュー作。
とてもじゃないですが、これだけの作品の脚本を17歳で書き上げて、19歳で監督したとは思えません。
自分の10代の頃を振り返るとなおのことそう思います。
私が一番感心したのは若さゆえの暴走や余計な小細工が一切なかったことですね。
作品全体をきちんとコントロールできているし、俯瞰する目線がある。
詳しくは知りませんが、私小説的な部分もあると思うんですよ。
でもそこでドランは決して独りよがりにならないんですよね。
これは凄い事だと思います。
作品自体のテーマは至極普遍的です。
今更な感すら漂う母と子の断絶。
そこは声高に語られてもですね、そういった親子関係に関するあれこれを数え切れないほどの衝突と和解とともに踏みしだいて、この先に介護が待っている世代としてはですね、ああ、若いよなあ、まあやっぱり10代の視点だよなあ、とは思うんです。
なんか気恥ずかしくなる、というか。
色あせた感情すぎて共感できない部分も私にはあったんですが、 それでもちゃんと最後まで見せきる手腕がね、やはり天才と呼ばれる所以か、と思います。
途中でもういいや、ってならなかったんですよね、不思議なことに。
いったいどこに着地するんだ、と興味津々だったんですが、ラストはノスタルジックな美しいシーンでいささかごまかされちゃったかのような印象。
ドランの「母殺し」はこの作品単体では完結していないように私は感じました。
いつか同テーマの作品に彼が挑んだ時、この続きを見せて欲しい、と私は思いましたね。
余談ですが同性愛的描写があるので、そういうのに嫌悪感がある人はご注意を。
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