アメリカ 2002
監督 サム・ライミ
原作 スタン・リー、スティーヴ・ディッコ

クリストファー・ノーランのバットマンシリーズを勘定に入れないなら、数あるアメコミ映画の中でも最良の一作ではないか、と思います。
私は原作を読んだことがないので、それがサム・ライミの手によるものなのか、脚本のデヴィッド・コープが優秀だったのかわからないんですが、いわゆるヒロイック・ファンタジーとして完璧なのでは、とあらためて感じたことは確か。
冴えないオタクが超常的な力を手に入れる、というストーリーの滑り出しも多くのくすぶってる男子諸君の共感を得るものだと思うんですが、力を手に入れてしまった高校生がなにゆえそれを社会正義のために使おうと決心するのか、そのくだりもつっこむ余地のない作劇のうまさがあると思った。
しかもそれが後々まで意味を持つ、ときてる。
実にシンプルではあるんです。
さらに掘り下げようと思えばもちろん掘り下げられるんでしょうが、わざわざ考え込まなくても答えは出ているじゃないか、と議論を撥ね退けることができるだけのわかりやすさが、シンプルであるがゆえ、異様に力強く見る側に響いてくるんですよね。
主人公が孤児、というのも70年代的ではありますが、ピーターのキャラ立ちを大きく補佐していると思う。
さらにはそこにラブロマンスまで絡めてくる、という念押しぶり。
エンディングでヒーローの孤独にまで触れているのにも舌を巻きました。
もう、全部の要素が余すところなく破綻せずにぎっちり満載、って感じなんですよね。
唯一、気になったのはヒロインのMJになぜキルステン・ダンストを抜擢したのか、という点なんですが、どうなんでしょう、これ、みんな言ってるんでしょうかね。
日本人の感覚じゃあ、ヒロインをいじめる役がぴったりな顔立ちだと思うんですが、うーん、わからん。
アメイジングも素晴らしかったですが、私にとってスパイダーマン、といえばやはりこちらですかね。
これがつまらない、と言う人はほとんど居ないんじゃないでしょうか。