ブラザーズ・グリム

アメリカ/チェコ 2005
監督 テリー・ギリアム
脚本 アーレン・クルーガー

グリム兄弟は実は魔物退治を生業とするハンターだった!としたトンデモ設定のダークファンタジー。

後の「リンカーン秘密の書」とか、あのあたりの作品のヒントとなったのでは、と思ったりもするんですが自信はありません。

ギリアムにしちゃあ、えらく安直でコミック風な脚本を引き受けたものだな、といささか懐疑的になったりもしたんですが、嫌な予感は半分的中、といったところでしょうか。

二人が「実はハンターに見せかけた〇〇だった」というのは監督らしい、と思うんです。

額面のまま展開されるわけないじゃないぞ、みたいな。

でもその後があまりよろしくない。

兄弟の確執とか、ささやかなラブロマンスに物語の焦点が絞られて、妙に筋立てが真っ当なんですね。

ギリアムらしい毒がない。

悪ふざけも控え気味。

いつもの監督ならフランス軍の将軍やその側近にもっと滅茶苦茶やらせた、と思うんですよ。

全体を通して脱線しすぎず、大きくわかりやすいところにあえて着地したように見えるんですね。

ま、これはこれで決して悪くはないと思います。

ただ昔からのファンからすると幾分物足りない。

塔の上のラプンツェルをあのようなオカルトに改変しちゃったのはおもしろかったんですが、「怖い」グリム童話をもう少し物語に忍ばせてくれたら、印象も変わったのに、と思ったり。

うーん、監督に思い入れが深いと色々ややこしくてダメですね。

普通にエンターティメントとして見る分には良作と言えるかもしれません。

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