2002年初出 萩尾望都
小学館フラワーコミックス 全4巻

フラワーズを読んでいる女性読者は本当にこの内容についていけたのだろうか?と思えるほどガチでSFです。
しばらく少女漫画から遠ざかっていた時期があったもんで、本当に久しぶりに触れた萩尾望都作品なんですが、ああ変わってないなあ、思う。
もう結構な年齢に達しておられるであろうにこのクリエイティビリティは何としたことか、と思いますね。
描けませんよ、普通この年齢でここまでど真ん中SFは。
恐るべし萩尾望都。
テーマは仮想現実で、なんとなく板橋しゅうほうの「セブンブリッジ」を思い出したりもするんですが、本作の方が手が込んでいるし、プロットも複雑。
また、こういうSF作品って、一般紙や男性誌ではほとんど絶滅危惧種状態なのでそういう意味でも貴重。
ただこの作品が日本SF大賞を受賞するほどの内容で、作者の過去作と照らし合わせても頭一つ抜けて傑作か、と問われるとそこは微妙ですね。
おもしろかったことは確かなんですが、萩尾望都という大作家の偉業を省みるならこりゃまずまず、の部類では、と思ったりもします。
まあ、もはや誰も手の届かない境地に達しておられることは確かなので、読んで損はない事は確かですが。
ちなみに難解です。
それゆえ燃える、という人向けな部分もあり。