河よりも長くゆるやかに

1983年初出 吉田秋生
小学館プチフラワーコミックス 全2巻

吉田秋生が実は男だ、とか元風俗嬢だ、などと流言飛語が飛んだのは本作発表後だったように思います。

それほどこのマンガは男子高校生というどうしようもない生き物の生態に関してどこまでもリアルだった。

女性読者より、むしろ男性読者の共感を多く得たのでは、とすら思いますね。

まあこれをね、正面切って少女マンガだ、とは言い難い部分はありますよね。

あまりにもあけすけなものだから。

ここまで全部描いてしまうのは山上たつひこぐらいしかいねえぞ!みたいな(もちろん褒め言葉です)。

ショックを受けた女性読者も少なからず居たんじゃないですかね。

暇を持て余した若奥様の妄想のお手伝いをするわけでなく、少女の夢想を助長するわけでなく、等身大で現実的で、どうしようもなくて、やさぐれてて、それでも学校へ行くしかない男子高校生の日常を見事に切り取った名作でしょうね。

大枠でコメディなんですけど、こそっと恋する乙女の心理なんかも描写してるのが心憎い。

セックスを禁忌としない大胆さが80年代に生きる新世代なティーンの自由さを代弁してるかのようだ、と当時は思ったりもしました。

なんでこれが2巻で終わっちゃったんでしょうね?面白かったんですけどねえ。

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