1975年初出 日野日出志
ひばり書房ヒットコミックス
子供の頃怖いモノ見たさで読んで、長らく私のトラウマとなった一冊。
この本のせいで見慣れぬ虫をひどく恐れる時期がしばらく続いたのだから、ほんと作者には責任とってほしい。
カフカとの共通点等、識者は指摘していたりしますが、まあ、それほど大層なものではなく、単純にどこまでも救いがなくグロテスクなホラーです。
とにかく絵が気味悪い。
これはもう、わざとやってるのではと思えるほど極端なディフォルメ、アンバランスさを強調したデッサンが生理的嫌悪感をどこまでも刺激します。
多分朝起きて枕元にこの本が置いてあったら「ギャっ」と悲鳴を上げ、隣で寝ている嫁を錯乱してぶん殴ると思う。
それぐらい嫌な作画ですね、私にとっては。
未だにそのおぞましさが許容できてない、というのははっきり言ってあります。
刷り込みなのかもしれないですけどね。
ただですね、奇妙な無常観漂うエンディングは怪奇ホラー好きのツボをつく悲哀があって、もしこの作品を伊藤潤二あたりがリメイクしたらまた違った美しさがあったかもなあ、などと思ったりもするんで、なんとも評価に困るところ。
70年代ならではの気味悪さであり、グロをアーティスティックに塗布するような悪夢的世界観は認めざるをえないと思うんですが、持っていたくはない。
私にとってはそういう一冊ですね。
コメント
[…] 蔵六の奇病 毒虫小僧 […]