1970年初出 藤子不二雄A
中公文庫 全14巻
いやはやすごいタイトルなわけです。
まんが道・・・・・・。
子供の頃の私ですら、これはなにか違う、と思ったぐらいですから、そのインパクトに肝を冷やした方々もきっと大勢居たはず。
ストーリーは藤子不二雄の二人のアマチュア時代からデビュー、トキワ荘時代を描いた自叙伝的内容なんですが、 今考えると36歳でこれを描く、というのはちょっと早すぎやしないか藤子A先生、と思ったりもするわけです。
大体自叙伝とか回顧録とかって、一線を退いた書き手が晩年にやるのがセオリーでは、と思うんですね。
なんでしょう、不惑を前にしてもうやりきった感があったんでしょうか、A先生。
漫画というメディアの素晴らしさ、その現場の凄まじさがこれでもか、と描写されてますんで、本作を読んで感化された青少年も多い、と聞きますが、私は世代的にちょっと伝わりにくいものもあった。
あまりに神格化された手塚治虫像についていけなかった、というのもありましたし。
今あらためて読むとまた感じ方も違ったりするんですが、じゃあこれがおもしろいのか、というと微妙なところ。
とても興味深い内容ではあるんです。
でもそれが物語としてカタルシスを得られるか、というとやっぱりどこかニッチでカルトなんですね。
本人の手による伝説のトキワ荘を知ることが出来る、と言う意味では貴重か、と思いますが、やっぱりこれはコアな漫画ファン向けでは、と思ったりもします。
余談ですが続編のタイトルも凄まじいです。
「愛、知りそめし頃に」ですからね・・・。
本当にもう、どこへ行こうと言うのか、藤子A・・・・・・。