モンスターキネマトグラフ

2008年初版 坂木原レム
徳間書店リュウコミックス

人間兵器として戦場に投入された「怪獣に変身できる女」が戦後、映画の世界に関わりながら「生きた着ぐるみ」として国家に監視されながらも、けなげに生きていく姿を描いた作品。

いやもう、とりあえず発想は凄い、とは思います。

過分にコメディタッチではありますが、普通はこんなこと思いついても作品にはしないだろ、というレベルにあることは確か。

怪獣映画に対する愛着が透けて見えるアクロバティックな作話、オマージュと思われる遊び心に好感は持てますが、「何故」「いかような経緯をへて」「そのようなことになったのか」が一切描かれていないため、どうしてもストーリー自体は軽くなりがちです。

結局異形のラブコメ、として着地しちゃったのも残念。

カルト漫画「巨人獣」みたいな展開もやろうと思えばできたと思うんです。

何も説明しないなら、説明しないまま暴走して欲しかった、と言うのは私のわがままでしょうか。

四畳半的幸せに物語を落とし込んでしまうと、前半のスケールの大きさが全部無駄になっちゃうように思うんですが、いささか辛辣な見方ですかね。

画力は高いと思います。

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