ナイトクローラー

アメリカ 2014
監督、脚本 ダン・ギルロイ

ナイトクローラー

いわゆるパパラッチの倫理観を描いた作品なわけですが、正直なところ、そのテーマ性とストーリーテリングにさほど新鮮味はありません。

まず大前提としてスクープを追うマスコミの節操のなさ、人でなしぶりはわざわざ映画に教えてもらうまでもなく、ここ日本でも周知の事実なわけで。

それをあらためてこんなにクソなんだ、と揶揄したところで「知ってるよ」という他なく。

パパラッチの仕事を熟知していたわけでもない主人公ルイスがあまりにうまくやりすぎ、というのもありましたし、そんなルイスの過激映像をテレビ局は簡単に垂れ流しすぎ、というのもあった。

普通は絶対横やりが入ると思うんですよ。

これはあまりにやりすぎだ、と文句をつける連中との諍いを経て、物語を別の場所に着地させてこそ、マスコミの孕む問題も浮き彫りになったか、と思うんですが、私の見た限りではこそ泥まがいのサイコ野郎が大金を手にしちゃう世界なんだよファッキンシット!で終わりでしたし。

結局、明喩があるだけで暗喩がないから、単に悪徳を行使し成功する男のピカレスクロマン、で全部完結しちゃうんですよね。

やはりそこに高く評価できるものはない、と思うわけです。

じゃあなにがこの作品を人々の口の端にのぼらせているかというと、私は1にも2にも主演のジェイク・ギレンホールだと思うんですね。

これが本当にジェイクなのか?と見まがうばかりの役へのなりきりぶりは凄まじいの一言。

どこからどうみても嫌なやつなんです。

ファンである私が見ても軽く嫌いになってしまいそうなほどの。

実はジェイクのスター映画である、というのがこの作品の裏設定なのでは、と私は考える次第。

ジェイクをヒールに見立てたサイコサスペンス、が最も的確なのでは、と思ったりもしました。

ただそう考えるといささかジェイクの暴れっぷりが足りないのでは、などと思えてきたりもして、なんとももどかしいという、うーん、困った1作ですね。

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