1978年初出 石川賢
双葉社アクションコミックス
76年~79年の4年間で廃刊した漫画ジョーという青年漫画誌に掲載された、同主人公の短編を集めたもの。
かつてはオハヨー出版という謎の出版社から同タイトルで単行本化されてましたが、何をとち狂ったのか00年に双葉社が「時元忍風帳」を併録の上、再単行本化。
虚無戦記シリーズが連続刊行されてる時でしたね、売れる、と思ったんでしょうね。
見事目論見ははずれ、いまやとんでもなく値段がつり上がっておいそれと手が出せぬ一冊になっちゃってるわけですが。
でもまあ、ご安心を。
はっきり言ってマニアならともかく、ファンが大枚はたいて買うような内容じゃないです。
やってることはいわゆる山田風太郎忍法帳的世界観での艶笑コメディ。
師匠である永井豪のデタラメなあのノリを想像してもらえればわかりやすいかと。
もうね、滅茶苦茶です。
なんせね、くのいち城を守るお色気女忍者を倒すべく、ゲイの忍者と絶倫の巨根忍者が戦いを挑む、って内容ですから。
笑っていいのやら、呆れていいのやら。
あれこれ規制の厳しい今だとなかなかここまで露骨なことはできないだろうなあ、とは思いますが、それが面白いかどうか?ってのはまた別の話であって。
あんまり真面目に論じたくもないんですが、掘って~とあえいでるキャラが主人公ってあまりに野心的すぎる、と思うわけで。
山上たつひこでもそこまでセクシャルマイノリティに露骨じゃない。
女陰がブラックホールになってるネタにはちょっと笑ってしまいましたが、これね、評価不能ですわ、はっきり言って。
悪ノリだけで描きあげた、って感じですかね。
艶笑なりのエロへの執着なり、ドタバタなりの狂騒の極みを勘案してくれてたらまた違ったんでしょうけど、ほぼ勢い一発勝負ですしね。
「時元忍風帳」は比較的真面目な時代SFなんですけど、この一作のためだけに買う、というのもどうかと思いますし。
完全に石川マニアむけの1冊。
そんな人が今まだ居るのかどうかはわからんが。