1989年初版 山上たつひこ
マガジンハウス

登場人物の全てを卵形2等身で描いた実験的時代劇。
卵形2等身でチャンバラをやって、血しぶきが飛びまくるってだけでおかしいんですが、それにもまして下品で、まさに山上ギャグ真骨頂。
さらにマニアックなのは、この作品が平田弘史の「血だるま剣法」のオマージュにもなっていることであり、すごいところをパロディ化したものだ、とつくづく感服。
なんせ長い間血だるま剣法自体が発禁で読めない状態だったわけですし。
ほんとうにばかばかしい内容の時代劇なんですが、こういう事を実際にやってみる精神性が私は好きです。
これこそ漫画でしかできない表現だと思います。
袈裟斬りにされた二頭身の人体断面図を描いた作品なんて、この漫画だけでしょう。
つくづく発想が普通じゃない。
小説家転向前の最後の秀作。