イギリス/カナダ 1991
監督 デヴィッド・クローネンバーグ
原作 ウィリアム・バロウズ

バロウズの奇書を映像化した作品。
そもそもバロウズの原作を読んでないので、なにがどうクローネンバーグの手によって書き換えられたのかすらわからないんですが、とりあえずひたすらシュールです。
一応、お話として筋はあるんです。
筋はあるが、ストーリーを構成するパーツの数々がことごとく意味不明。
実験映画、と言うほど観客を突き放してはいませんが、かといって商業ベースで堂々とやれるほど理解の範疇にある内容でもない。
まあ、身も蓋もない言い方をしちゃうとヤク中の幻覚の映像化ですね。
ちょっと中2が微妙に混じってる。
昆虫らしきものが擬態化したタイプライターや、謎の異星人風の怪物は絵的におもしろかったですが、それが作品の何かを支えている、というわけでもなくてですね。
ここに前衛のなんたるかを見い出しちゃう人もいたりするんでしょうが、私はスパイだとか言い出した時点で幾分冷めてしまいました。
私小説的に文章を書いて発表することが重要なキーワードになってるのも、なんだかなあ、と言う感じ。
書けない作家の苦し紛れのメタな幻想小説に共感も感銘もないわけで。
要はデタラメをやるにしても、もっと発想の飛躍が欲しかった、というのが正直なところ。
ただ、これを映像化しようと思ったプロデューサーやクローネンバーグのチャレンジ精神は評価したい、と思います。
どう考えても大バクチですし。
酔っぱらって見る、ぐらいがちょうどいいかもしれません。
戦慄の絆でひとつの完成を見たクローネンバーグが次の一手を模索していたのかもしれないなあ、なんて思ったりもします。
しかし主演のピーターウェラーはよくまあこんなわけのわからない配役を達者に演技できたものだ、とそこだけは感心しましたね。
コメント
[…] なんだかもう裸のランチばりに前後の脈絡なくお話が飛びまくるんですね。 […]
[…] 裸のランチ […]