2013年初出 松橋犬輔
集英社YJCX 1~2巻(以下続巻)
非常に毒のある漫画だと思います。
無実の罪を着せられて一家を惨殺された少女が、復讐のために1人の少年殺人鬼と契約する、という物語なんですが、さてこの作品、どこにカタルシスを見出すつもりなのかという点と、どうオチをつけるつもりなのかと言う点で、近年の漫画では久しぶりに先の展開が気になったことは確かです。
特に殺人鬼マコちん、かなりきわどいと思う。
これ、もし仮に現実にリンクするような事件があったら軽く連載丸ごと吹き飛ぶと思う。
いったい作者はこんな危なげな題材で何を描こうとしてるのか、とても興味深い、というのはあります。
つーかこれって、登場人物の年齢を引き上げて殺人鬼を殺し屋にすれば一昔前の劇画でちょくちょくあったような設定ではあるんですけどね。
ただ昔の劇画作家が同じことをやったとしても、絶対こうはならない、と言うのがこの作品の強みでしょうね。
1巻の緊張感は並々ならぬものがあったと思います。
問題は2巻。
こんなモラルをあざけるような作品を描いておきながら、なぜか新たな登場人物がどれもこれも悪い意味でマンガ的なキャラばっかりで。
わかりやすすぎる人物造形というか。
マコちんという得体の知れない存在に、一向に狂気が垣間見えてこないのもだんだん気になってくる。
ジャンプ改という雑誌がどれぐらいの年齢の読者をターゲットにしているのかわかりませんが、なんだか少年漫画的な手法が急に目立ってくるんですね。
うーん、ポップになりえないはずなのに、どこか妙にキャッチーでノリがいいのはどういうわけか。
とんでもない闇がぽっかり口をあけてないとおかしいんですけどね、なんだか普通に正邪のスリリングな攻防を描いた展開風なのも疑問。
続きを読むかどうか、わかりません。
意欲的で果敢な作品だと思いますが、作者の資質と内容が合致してないような気もしました。