アメリカ 1981
監督、脚本 ブライアン・デ・パルマ
80年代のデパルマ作品の中では最高に好きな1本。
映画の音響係をつとめる主人公が、効果音を録音中、偶然出くわした自動車事故に端を発するサスペンスなんですが、これが内輪な題材の割には実によく出来ていて。
録音された音をたよりに、謎は少しづつその真相に近づいていくという展開なんですが、いささか地味ながら、シナリオ構成が余計な寄り道をせずブレないのがいいんですよね。
今回はお得意のお色気も控え目に、トータルの整合性を考えたのかな、などと邪推したり。
若き日のジョン・トラボルタも好演です。
脱サタデー・ナイト・フィーバーを意識したのか、落ちついた立ち居振る舞いです。
特筆すべきはなんといってもエンディング。
ジャックが見上げた空に次々と打ち上げられる花火のシーンは鳥肌もの。
終わり方が終わり方なだけに、その鮮やかさが際立ちます。
ヒロインのサリーがちょっとおバカなんだけどいい子だから、場面の美しさが絶妙のコントラストで余計に胸へと迫ってくるんですよね。
これぞデパルマ、と大きく膝を打つこと間違いなし。
ラストシーンも恐ろしく皮肉が利いていて良し。
このエンディングを撮った、という事だけで見る価値のある1本だと思います。
歳月を経ても記憶に残ってる数少ない作品のうちのひとつ。
決してああ良かったね、と言える映画じゃないんですけどね、突きつけられたシビアな現実と美がせめぎ合う隠れた傑作と推す次第。
コメント
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