バードボックス バルセロナ

スペイン 2023
監督、脚本 アレックス・パストール、ダビ・パストール

NETFLIXにおける視聴回数が一億五千万回を突破した(2025年現在)大ヒット作バード・ボックス(2018)のスピンオフというかリブート的一作。

なんか回りくどい言い方になっちゃってるんですが、本作、舞台をスペインのバルセロナに変更して『見てはいけない何か』が襲来してきた日から描きなおす形になっていて。

純粋に続編じゃないんですね。

作品の立ち位置としてはクワイエット・プレイス DAY1(2024)とほぼ同じ、といっていいでしょう。

最近はマーベルやDCみたいに、関連作で作品世界を広げていく展開が流行なんですかね?わかんないけど。

ま、前作があの終わり方だったんで、続きは難しい、ってのも理解できなくはない。

アレにつながる物語、って相当に強引な手綱捌きが必要になってくるでしょうから。

スベる確率の方が高そうだもんなあ。

前作の監督を務めたスサンネ・ビアが続編に乗り気じゃなかった、って記事をどこかで読んだような気も。

どうあれ、スピンオフ的作品ってね、あんまり大きく期待しないように思うんですよ、多くの人はね。

私も公開されてすぐに飛びつきませんでしたし。

ま、前作は超えられんだろうなあ・・・なんて。

そしたら、だ。

見劣りするどころか、前作を踏み台としてさらなる高みへとステップアップしてきやがったもんだから、びっくり。

いや、パストール兄弟は見事に脚本、練り上げてきましたね。

秀逸だったのは、『見てはいけない何か』を見ても、死なない人間が一部に存在するとし、死なないことを身勝手に宗教的解釈してしまった、とした設定。

純然たる侵略者でしかない『見てはいけない何か』を、天使だとか言い出すんですよ、死ななかった連中は。

これって、見たいものしか見ない、信じたいものしか信じずにカルト化する社会の写し鏡のようで。

本当にありそう、と思えてくる妙な現実味がある。

侵略者が人の記憶や心理状態を見透かして、幻覚を用い、コントロールしようとするプロセスに注目したのも利口だったと思います。

それが、主人公セバスチャンと娘のアンナの行動そのものに大きな目的意識を与え、序盤においては驚きの目くらましになってたりするんですね。

主人公親子が見たままではないとする展開は、強い引きになっていたように思います。

うわ、これどうするんだよ、色々と取り返しつかねえじゃねえかよ、と焦ること間違いなし。

侵略者と、生き残った人類の物語に、第三極を組み込んだ物語は、確実に前作より深みを増していたように思いますね。

ストーリーの落としどころを「許されるはずもない贖罪」に見定めたのもいい。

なぜ男は真実に気づいたのか?をもう少し印象的に描けていたらもっと良かった、とは思うんですが、どこへも向かいそうになかった物語に相応の筋道をつけた、という意味ではドラマチックだったように思います。

あと、エンディングにもニヤリとさせられましたね。

次作は侵略者を科学的に考察していくつもりか!とつい期待してしまったり。

総じて優れた内容だったと思います。

なんでこれが海外で驚くほど低評価なのか全く理解できん。

序盤の町が大混乱に陥るシークエンスや、クライマックスのロープウェイに乗り込む場面等、見せ場もちゃんとあったと思いますし。

大ヒット作のスピンオフとしては及第点以上といっていい秀作、おススメですね。

続きがあるのならまた見たい、と思いました。

ねじレート 86/100

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