サウンド・オブ・サイレンス

2023 イタリア
監督、脚本 アレッサンドロ・アントナチ、ダニエル・ラスカー、ステファノ・マンダラ(T3)

音をたてると現れる、得体のしれない何かとの対決を描いたホラー。

対決するのはニューヨークで歌手を目指してるお嬢さんなんだけど、いわゆる飛んで火にいる夏の虫系で。

よせ!と言われてるのに変な親切心(おせっかい?)を発動させて首を突っ込むタイプ。

ま、典型といえば典型、絶対ひどい目にあうことが予測できてしまうテンプレートではあります。

しかもね、音を立てると現れる何か、ってまんまクワイエット・プレイス(2018)だからね。

クワイエット・プレイスは侵略SF、本作は典型的なホーンテッドハウス系ホラー、と全くジャンルは違いますが、完全にネタは被ってるから。

もうネタバレ覚悟で書いてしまいますけど(敏感な人はここで読むのをやめてね)最終的な撃退方法まで同じだからね、この映画。

いやいや監督3人も居ながらクワイエット・プレイス知らなかった、とはいわせねえぞ、コラ。

こんなの絶対にうるさ型の映画ファン(断じて私ではない)から言われるに決まってんじゃん、パクリだって。

なんでわざわざ発想の貧困さ、アイディアの乏しさを非難されるようなことするかな、って。

ま、音をたてると現れるやつらが二段構えになっていて、本丸が別に居る設定や、だるまさんが転んだ風のジャンプスケアはそれなりに楽しかった(怖かった)んですが、土台が借り物で既視感満載だとどうしたって面白味は半減するわけで。

なんでしょうね、イタリアだけにジャーロで片付けちゃった方がいいんですかね。

ジャーロの代表格、ダリオ・アルジェントでも核となるアイディアはもうちょっと工夫してたと思うがな。

あと、エンディングに事件後の顛末が描写されてるんですが、全く別のストーリーのオープニングみたいになっててかなり混乱しました。

えっ、ルクレッツイアの肖像って何?そんなの作中で言及してたか?なんで無関係な人が取り込まれちゃってるの?と脳内は疑問符だらけで、もう一度最初から見直しそうになったよ、私は。

見なかったけどな、これは絶対に本筋に関係ない、と最終的には思ったから。

なぜこんな文脈無視で意味不明なことをするのか、さっぱりわからん。

ついさっきまでキャッチャーめがけて投げてたボールを、9回裏になってレフトへ向かって投げ出すようなもんだからね、これ。

えーと、監督3人いるけどね、烏合の衆かよ。

観れば私の言ってることが決して大げさではないことがわかってもらえると思います。

うーん、作品を支配するゴシックな画作りは伝統的な感じで悪くない、と最初は思ったんだがなあ。

ただそれもよく考えたらなぜか登場人物が部屋の天井照明をつけないせい、とあとから気づいた。

力ずくでゴシック?

・・・・だめかも、この映画。

なにやら意気込みは感じるけど、どこかゆるいし隙だらけ、ってなところですかね。

こういうのが大好きなマニアがいまだ国内に生息してることを祈らずにはいられんな。

私はもういいし、多分すぐ忘れると思うけどね。

ねじレート 55/100

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