2023 アメリカ
監督、脚本 カート・ウィマー

チルドレン・オブ・ザ・コーンの何回目かわからんぐらいの再映像化、と知ってから観たほうが良い
さて、リベリオン(2002)のかっこよさに心酔し、ガン=カタこそがジョン・ウィックのガン・フーの源流、と頑なに主張するファンからしてみればカート・ウィマーの名を見ただけで「マジか!」と浮足立ってしまうわけであります。
まだ映画業界に携わってらっしゃったかー!と思わず歓喜の雄叫び。
だってね、ウルトラヴァイオレット(2006)以降、全く音沙汰なかったんですから。
もう映画とは無縁な別の仕事してるのかもなあ、なんて思ったりもしてた。
今回、あらためて調べてみたら、実はぽつぽつと脚本は書いてて、エクスペンダブルズ・ニューブラッドもこの人の脚本だったりしたんだけど、参加した作品がことごとくあたってない&私の食指がそそられないものばかりで、全て未見。
いや、すまん、アンテナの感度が悪くて、マジで知らなかった。
ちゃんと業界で仕事してるのに、うわー、超久しぶり、って勝手に興奮するとか、世話ないわ、お恥ずかしい。
でもね、監督作としてはおよそ20年ぶりなわけです。
監督、脚本兼任となれば、そりゃもう作品はその人のもの、といっていいと思うし。
やっぱり期待してしまいますよね、高いオリジナリティを誇った人だったしね。
なぜ、20年ぶりに取り組んだ映画がスティーブン・キング原作?という不思議はあるが、まあいい。
スティーブン・キングなのに予測不可能なSFアクション・スリラー(タタキ文句)って変だと思うけど、もう原型をとどめてないほど改変されてるとか、そういうことなのかしれないし、まあ、とにかく観てみるか、と。
10分経過。
ん?
20分経過。
あれ、これ、なんか知ってるぞ、俺。
なんか見たことある気がする。
調べました。
これ、原作になってるタイトルって、エイジ・オブ・パンデミックじゃなくてチルドレン・オブ・ザ・コーンじゃねえかよ・・・。
ちなみにチルドレン・オブ・ザ・コーンというと、続編やら仕切り直しやらで過去9作ぐらい発表されており、さんざんこすられまくったおかげもあってか、日本未公開のものもあるほどのいわくつき(高い知名度ともいう)の作品。
どれだったか全く覚えてないけど、私も2作ぐらい観た記憶がある。
あー、既視感の正体はこれだったかー、と。
アメリカ本国じゃいまだに人気あるのかもしれないけど、なんでわざわざこうも使い古したオールディーズに手を出すかな、と。
やってることはソウを10作発表したあとに、1作目のソウを新たにリメイクするようなもんですからね。
もう、逆さにして振ってもなにも出んだろ、って。
スティーブン・キングはこの映画を見て、上手にアレンジしてる、って褒めたようですが、どこをどうアレンジしてるのかわかるほど原作の熱心なファンではないし、そもそもチルドレン・オブ・ザ・コーンが優れたホラーだとか私は全く思ってないんで、どうでもよくてね。
いやね、光る眼(1995)とかに代表される、子どもが悪辣なホラーって私、嫌いなんですよ。
子どもは生来残酷なものなんだから、それを改めて見せつけてくれんでもいい、って話で。
舞台となるトウモロコシ畑のだだっ広さや、軽く森な見通しの悪さ、不気味さも日本に住んでる身としちゃあ、まるで実感もてないですしね。
で、最も最悪だったのが、肝心のカート・ウィマーが、恐怖を醸造するのが下手だったこと。
イーデン役を演じるケイト・モイヤーは実に憎たらしい演技を披露しててすごいな、と思ったんですが、総じて残酷ではあれど、全く怖くなくて。
畑に潜んでたやつとか、ゴーストバスターズの選考に漏れたのかよ、と思ったしね。
うーん、相当な期待をして臨んだんですが、だめだこりゃ。
プロットに新鮮味がない上に、恐怖の核となるアイディアが乏しい。
何をどうしたかったのか、カート・ウィマー、まさか安牌を狙ったんじゃあるまいな、20年ぶりなのに。
こんなことならリベリオンの続編を撮ってくれたほうがよっぽど・・・。
ともあれ、予測不可能なSFアクション・スリラー、ってのは大嘘です。
ありがちなホラー、で全部片付いちゃう感じ。
残念。
その一言ですね。
次があるのかわかんないけど、ホラーはもうやめておいたほうがいい気がします。
ま、ブランクの割には・・・、ってことでまとめておきましょうか。
ねじレート 65/100