2023 アメリカ
監督、脚本 オズグッド・パーキンス

衝撃の結末が、救われなさすぎて後をひく
未解決連続殺人事件の捜査を任されたFBI新人捜査官を描くクライムスリラー。
オープニング早々、アスペクト比が違ったんで、あ、なんかこだわりがあって、色々面倒くさい映画なのかも、と思ったんですが、アスペクト比が違ったのは過去のシーンだけでございました。
カンヌでもてはやされる系?などと疑ってすまぬ。
ただね、じゃあエンタメなのか?と聞かれれば、そうとも言い切れぬ独特の重苦しさがあったりもして。
総じて映像の照度が低いんですよね。
毎日曇り空ばかりなのかよ、英国なのか?アイルランド?ってなぐらいどんよりと薄暗い。
識者な方々はデヴィッド・フィンチャーとの共通点等、見出しておられるようですが、私の感覚ではフィンチャーほどスタイリッシュではないですね。
カメラのアングルがね、あまり立体的じゃないんです。
じっくりと同じ画角で長回しとかもあって、なんかヨーロッパの映画っぽいなあ、って。
眠くなっちゃう人は一定数存在すると思います。
また主役リー・ハーカーを演じるマイカ・モンローが、陰気で人見知りっぽい捜査官役を無表情に演じててねえ。
映像は薄暗いわ、ヒロインは陰キャだわで、見てて気分が沈んでくわ!って話で。
物語前半では、リー・ハーカーが『謎の直感』を働かせて事件の真相に少しづつ近づいていくんで、なんだこれ?陰キャが実はサイキック!って話なのか?何をどうしたいんだ?と、結構混乱したんですが、それも中盤まで。
なんだかんだ言って実はホラーなんじゃないか?この映画?と疑ってたんですが(やたら不穏で不気味なものだから)中盤以降、そこいらのホラー以上に衝撃な展開が待ち受けてたりします。
終盤、トラウマものの悲劇あり。
この作品が、多くはセブン(1995)と比較されるのも至極納得。
胸糞とはまた違うんですが、救いのなさというか、救われなさが視聴後しばらく後を引きます。
監督は本作を、精神を病んでいた実の母との決別の意味を込めて作った、とインタビューで答えてますが、それを聞いて、後々全部紐解けた気がしましたね。
ぶっちゃけ解き明かされてない謎や、都合よくオカルトっぽいネタを使うのは・・と首をかしげるシナリオ進行があったりもするんですけど『実の母を投影していた』と聞いてしまっては、すべてを筋立ててわかりやすく仕立てるのは不可能かもな、と思ったりもしますし。
母と子の間柄であってすら(もしくは、あるからこそ)、すべてが許せるわけではないし、取り返しがつかぬことも往々にして起こりうる、とした作劇は、サスペンスの枠組みを一跨ぎにして重厚な人間ドラマのようですらありました。
ちなみにニコラス・ケイジは白塗りしてるんで言われなきゃスルーしそうになります。
ま、熱演でしたけど、彼でなきゃならないわけでもないな、と思いました。
「ニコラスは作品のテーマにひどく共感して出演を快諾」とか言われちゃうと何も言えなくなったりはするんですけどね。
強烈な爪痕を残す一作ではありました。
ただ、好みは分かれる気がしますね。
自分の作風を確立してる監督だと思うんで、機会があれば他の作品を見てみたいですね。
ねじレート 82/100

