アメリカ 2018
監督 ジュリアス・エイヴァリー
脚本 ビリー・レイ、マーク・L・スミス
ナチスに占拠された小さな村で、破壊工作に着手するため、秘密裏に潜入したアメリカ空挺部隊の兵士が「予想を超えたとんでもないもの」を目にして大変なことになるお話。
前半と後半で作品の色合いがまるで変わる、と話題になった一作ですが、ま、それほど意外性に富んだ展開というわけでもありません。
ナチスが神秘主義にかぶれていたのは有名な話ですし、千年王国を築くために「あるもの」を必要としていた、というのも映画にとどまらず色んなメディアでネタにされてることですしね。
どっちかというと、まだこのネタを使い回すのか、といった印象の方が濃い。
やっぱりどうしたってね、俄然安っぽくなっちゃうんですよね。
血清一本注射しただけであんな風になるわきゃないんですから。
どうせなら錬金術でも引っ張り出してきて「ホムンクルスを誕生させようとしていた」ぐらいの方がケレン味たっぷりでよかったんじゃないか?と思ったりもする。
みなさん戦争映画+○○映画とおっしゃってますが、あながち間違いではないにせよ、そう断じてしまうことで少し印象操作することになっちゃうかな、と考えたりも。
というか○○を書いちゃ駄目だろう、と。
思いっきりネタバレになってるじゃねえかよ、って。
某オランダ映画と比較してる人もたくさん見かけますけどね、それもネタバレだ、アウトだってば。
やべえ、なにも書けねえ、と思ったりもする私ですが、それでもなんとか批評を進めていかねばならないのが「ネタバレなし」を標榜する当ブログの辛いところ。
ううっ「求められてもいないのにブログを勝手に始めたのはお前だろうが!」というつっこみが一斉に聞こえてきそうだ、ああ、ごめんなさいごめんなさい。
えー気を取り直しまして。
あとですね、私が気になったのは、主人公であるボイス二等兵がやたらと直情径行気味に「いい人」であったことですかね。
第二次大戦の真っ只中、昨日まで農場に居たような坊やがですよ、上官に逆らってまで正しいことをしようと己を貫くとか、タフガイすぎるだろう、って。
これがもしフルメタルジャケット(1987)なら徹底的にいびりぬかれて便所で自殺だよ。
ただね、じゃあつまらないのか?というと、そうでもない、というのがこの映画の悩ましいところでして。
J・J・エイブラムスが制作で関わっているだけはあって、シナリオ構成がしっかりしてるし、要所要所での見せ場も惜しみなくお金がかかってる。
前半の空中戦のシーンなんて手に汗握る大迫力。
終盤の銃撃戦の場面、特殊メイク、VFXもリアルに徹してるなあ、と思いましたしね。
作品の質そのものは高いといっていい。
単にアイディアがさして目新しくもない、というだけで。
あまり大きな期待を抱かない分には楽しめるかもしれません。
どこかビデオゲームっぽい、ってのがご愛嬌かも。