ロシア 2018
監督 イゴール・バラノフ
脚本 ティーホン・コルネフ、アレクセイ・チュポフ、ナタリア・メルクロワ、アレクセイ・カラウロフ

ロシアの文豪、ニコライ・ゴーゴリを主役に据えたダークファンタジー三部作の第二作目。
果たして黒騎士とは何者なのか?そして、その目的は?
物語はその一点に集約していくもの、と思いきや、あんまりストーリーはサクサク進行してくれません。
せいぜい黒騎士出現の法則性がなんとなく見えてくる程度。
ゴーゴリ出生の謎を意味ありげにちらちらと匂わせてみたりとか。
黒騎士と直接的な関係はなさそうな魔女とエクソシストが、がちゃがちゃ揉めたりとか。
挙げ句にゴーゴリは妖怪ヴィー退治に駆り出される始末。
おーい、本筋はどこへいった?と。
一作目のラストシーンでちらりと姿を見せたあの人はどうなったんだ?!と。
よくあるパターンではありますが、三作目に向けての壮大な前フリ、って感じですね。
ちょいと調べてみたところによると、本作で登場した妖怪ヴィーってのはニコライ・ゴーゴリが1835年に書いた短編を元ネタとしてるみたいなんで、文芸ファンをニヤリとほくそ笑ませる目的もあって、あえて遠回りをしてるのかもしれません。
私は全く知らなかったんで、なんなんだよヴィーって?といぶかしむだけでしたが。
しかしそれにしてもゴーゴリ、今回も無力だ。
霊視できるだけで大きな権限もなければ武力もなく、実行力も伴わなければ頭脳戦で先手を打てるわけでもない。
もう、ただただ振り回されるだけでね。
そのようなことで三部作の主役がつとまるのか!と思わず叱咤したくなる有様なんですが、ロシアじゃ「それでも全然かまわない」ってことなんでしょうかね。
こやつに任せておいて本当に大丈夫なのか?と私なんかは不安で仕方なかったりするんですが。
むしろゴーゴリを信頼しきれない様子の警察署長の気持ちのほうが理解できたり。
どうあれ、ここまで来たらもう最後まで見るしかない、って感じではあります。
スッキリさせてくれ、と。
ちなみに監督は一作目と変わらず、安定の仕事ぶりです。
回り道なりに緩急を設け、見せ場づくりにも余念がない。
最終作ではきっと盛り上げてくれるはず、と祈りつつ。