60億のシラミ

60億のシラミ

1979年初出 飯森広一
秋田書店少年チャンピオンコミックス

「レース鳩0777」等が人気を博した動物漫画で有名な飯森広一のSF大作。

とりあえず、地球上に生息する人類をシラミといいきるその辛辣さ、またタイトルにしてしまう大胆さには恐れいりました。

しかしそのシニカルさが作品内容にも反映しているのか、というと、そうでもなく、どちらかといえばお得意の動物漫画の延長線上でSFにトライしてみました、ってな印象。

動物目線で語り、人と動物の絆をじっくり描くのはいつもどおり。

本筋でやろうとしているのは、氷河期の到来を間近に迎えた人類の行く末を描いたある種のシュミレーションSFなんですが、これがですね、うーん、どうしたものかって感じで。

はっきりいって珍妙。

いや、前半は良かったんです。

気象データや動物に現れた異変を題材に、未曾有の氷河期を予見する展開は緊迫感があったし、時空を超えた天空坊と大地の対立はなんだか光瀬SFのようだ、とも思いました。

NSPという秘密警察が登場してきてからどうも内容は迷走気味に。

さすがに近藤さん、土方に、沖田、はいかんだろうと。

もうあまりにもわかりやすい悪役すぎて陳腐なレベル。

作者は自然科学に造詣が深くても、経済や社会の動静を見極めるのはあんまり得意じゃないみたい、というのがわかっちゃうんですよね。

早々と2巻ぐらいから俄然胡散臭さ濃厚に。

また、終末SFで水滸伝をやりたかったのは良くわかるんですが、主人公をさておいてひたすら登場人物が増え続ける展開もどうかと思います。

キャラに感情移入する暇なし。

しかも自分でチャレンジしておきながら108人の豪傑の描きわけがもう本当に適当で。

結局あまりにも壮大なプロットが作者の力量では処理しきれなかった、ってことなのだと思います。

技術的な問題も少なからずある。

結局人気が伸び悩んだみたいで、5巻で打ち切り、未完。

興味深い内容ではあるんですが、熱心な当時のファン向きでしょうね

色々惜しいものはあるんですけどね。

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