韓国 2017
監督 チョン・ビョンギル
脚本 チョン・ビョンギル、チョン・ビョンシク
父親を殺された女の壮絶な復讐を描いたアクション。
まあ、ぶっちゃけシナリオそのものに目新しさや新鮮味はないです。
韓国映画に多いパターンですが、どこか70年代の日本風だ、というのはこの作品にも当てはまるように思います。
例えばかつて映画化もされた修羅雪姫(1976)とかね。
国家が秘密裏に統括する暗殺組織なんてものが登場するあたり、むしろ修羅雪姫よりもさらに漫画的、と言ったほうがいいかも知れません。
で、話題になったアクションシーンですが、多少の怪我は厭わぬアジア圏のカンフー映画と同様、体張ってるなあ、というのは伝わってくるんですが、じっくり見せてほしい場面に限って何故か主観撮影に切り替わるんですよね、この作品。
スリルや臨場感が増す、と言う意味でその手法を否定するものではありませんが、私はあんまり好きじゃないですね。
いったいカメラはどこにあるんだ?と驚かされはしますが、よくわからないんですよね、役者がどういう動きをしてるのか。
私の感覚ではこの手の撮影って、ポール・グリーングラス監督のやり口と同じで連続性を感じられない。
私はアクションに「一連の殺陣の流れを追わせてくれること」を求めるクチなんで。
なんかよくわからんがド派手なだけでは満足できない。
動きの構築性を阻害してる気がするんですよね。
あと気になったのは、ネタバレ承知で書きますけど、キル・ビル(2003)と同じじゃねえかよ!とつっこめてしまうこと。
詳しくは書きませんが、キル・ビルを知ってる人が見たら、クライマックスで一斉に声をあげることは間違いないでしょうね。
確信犯なのかオマージュなのかなんだかわかりませんけど、それでキル・ビル以上の出来栄えだ、ってならまだ許せますよ、でも決してそうじゃないですからね、及んでないですもん。
ヒロインとヒョンスの気持ちのやり取りとかね、見どころがないわけじゃないんですが、ともすれば既成品の模倣と揶揄されかねないストーリーをもう少しひねってこの映画だけのオリジナルとすることにもっと心を砕いてほしかった、というのが正直なところでしょうか。
タイトルもねー、もうちょっとなんとかならんかったのか、と思いますね。
原題THE VILLAINESSですけど、「悪女」から想像するような性悪ぶりを発揮してる登場人物、ほぼ居ないですし。
的はずれなタイトルに思えて仕方がない。
主演のキム・オクビンは入魂の熱演だった、と思います。
私が印象に残ったのはそこぐらいですかね。
野心的だとは思いますが、課題も多い、と感じましたね。