イギリス/オーストラリア/アメリカ 2017
監督 ガイ・リッチー
原案 デビッド・ドブギン、ジョニー・ハロルド

「アーサー王と円卓の騎士」があまりに有名な、アーサー王伝説の王位奪還までを描いたアクション・ファンタジー。
えっ、ガイ・リッチーがファンタジーやるの?と最初は面食らったんですが、まあ、それなりにサマにはなってます。
なぜ今あえてアーサー王なのか?というのは、ぶっちゃけよくわからないですけどね。
聖剣エクスカリバーの存在もそうですけど、アーサー王を元ネタにしたであろうゲームやファンタジーって、もう把握しきれないぐらい大量にあると思うんですよ。
もはや古典であり、中世騎士道物語の教科書みたいなお話ですしね。
どう換骨奪胎するか、どうアレンジするかが現代においては常道なんじゃないか、と。
なんだろ、海外では再評価の機運が高まってるんですかね?
知りませんが。
特徴的なのは、熱い男たちの悪政に挑む戦いが、そのまま胸アツな路線で活写されるのではなく、どこかライトに、トリッキーなタッチで描写されてること。
なんだかね、革命軍の現王を倒すための計略がね、これから銀行に押し入る悪党どもの良からぬ企みみたいに見えてくるんですよね。
先入観もあるのかもしれませんが、ガイ・リッチーがまるでこれまでとやり口を変えてない、というのも大きいと思います。
同監督作のシャーロック・ホームズをご覧になった方だったらわかると思うんですが、ホームズが相手の行動を予測して自分の頭の中でシュミレーションを繰り広げる場面があるじゃないですか。
早いカット割りで、矢継ぎ早に展開していく一連のシークエンス。
あれを作戦会議でアーサー王本人が主観でやったりするんですよ。
そりゃ、どうしたって深刻にはなれないです。
えっ、ちょっと笑わせたかったりするの?とつい勘ぐってしまう。
これを味と捉えるか、場違いと捉えるかは難しいところでしょうね。
誰もガイ・リッチーに感動巨編な王道ファンタジーを求めちゃいない、ってのもあるでしょうし。
なので劇的な下克上のドラマにひたりたい、ってな人にとってはいささか拍子抜けな部分もあるかもしれない。
ただ、そんなオリジナリティ?を差し置いて、ド派手に炸裂してるのがアクション・シーンで。
監督はシャーロック・ホームズ以降、ほんと毎回驚きのアイディアを投入してくるなあ、と感心。
特に必見なのは聖剣エクスカリバーが発動するシーンでしょうね。
巧みにスローモーションを織り交ぜながら、主観撮影みたいな画をちょくちょく挿入してくるんです。
これ、マジでどうやって撮ってるのか、私にはよくわからない。
敵兵の頭に固定カメラでもつけてたのか?と。
CGの効果も相まって、鳥肌モノの剣戟シーンでしたね。
これが見れただけで私は元を取った気分。
格別物語が時代に合わせて大きく改変されてるわけでもない、感動を煽る仕掛けに執心してるわけでもない、と言った点があまり評価を芳しいものにはしないかもしれませんが、ガイ・リッチーらしいな、と思える点が私にとっては好印象でしたね。
あと、衣装が中世のようで微妙に中世でないような気がしたんですが、これ、意識的なものなんでしょうかね?
そもそもが詳しくないんでよくわからない。
ジュード・ロウの衣装なんて妙にスタイリッシュでしたしね。
ま、それなりに楽しめる一作じゃないでしょうか。
監督のファンとしちゃあ、及第点ですかね。