スペイン/フランス 2010
監督・脚本 アレックス・デ・ラ・イグレシア
サーカス団で二人のピエロが美女を巡って殺し合い、というプロット自体は、嫌いではないんです。
泣き虫ピエロのハビエルがどんどん身を持ち崩していって、サイコキラー化していくのもおもしろい、と思う。
ただですね、その過程に徹底して「もっともらしさ」がないんですね、この作品。
おそらくこういう作品の場合、「もっともらしさ」を補完するのは濃いホラーテイストであったり、ばかばかしさであったりだと思うんですが、その両方が欠落。
結果、ただ突拍子もなくアイディアを盛り込んだだけ、となってしまったように思います。
もっと大いに笑わせて、それでいてどこかもの悲しく怖い、みたいなテイストにいくらでもできた、と思うんですが、中途半端な寓話みたいになっちゃったのはやっぱりセンスだと思いますね。
中盤、スティーブンキングの「it」みたいになるのか、と期待したんですが、なんだかスッキリしないまま終幕。
とりあえず美女役のナタリアは性格破綻してる、と思います。
私の愛を信じて、って、そういうセリフを吐けるお前が正気に思えない、と言う話であって。
ベルリン映画祭で銀熊賞を受賞した映画ですが、私にはなにがおもしろいのか、よくわかりませんでした。
誰1人として共感できるキャラがいない、というのも大きかったですね。
キチガイホラーになりそこねた一品、という印象。