人間昆虫記

1970年初出 手塚治虫

周りの人間を模倣することによって世の中を器用に渡っていく女の遍歴を描いた異色の人間ドラマ。

過分に70年代的。

結局何が描きたかったのかよく分からない、っては正直ありますね。

マキャベリアンとしてたくましく生きていく女を描きたかった、と先生は仰ってますが、悪意不在の確信犯的存在として主人公は描写されているので、たくましいというより、単にこりゃタチがわるい、といった印象。

エンディングも意味不明。

全てを犠牲に悠々自適って、一体どういう事なんだ?と理解不能。

テーマとプロットが噛み合ってない一作だと思いました。

低迷期に濫造された作品と似た香りが・・・。

劇画の一大勢力化に翻弄されたのかな、といった感触もなきにしもあらず。

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