オーストラリア/アメリカ 2016
監督 クリス・ペッコーヴァー
脚本 クリス・ペッコーヴァー、ザック・カーン
12歳の少年と、そのベビーシッターである妙齢のお姉さん二人で留守番してる最中に、謎の侵入者が現れ、恐怖の一夜を過ごすことになってしまうお話。
ホラーコメディといえばホラーコメディかもしれませんが、最後まで見た人はきっと「スリラーだ」と口をそろえることでしょうね。
日本ではNETFLIXで配信されてたらしいんですけど(全くノーチェックでございました)、その後2020年に劇場公開、ひねりの効いた展開が話題になったらしいんですけど、まあ、あんまりハードル上げすぎない方がいいかな、というのが正直な感想。
結局「ひねり」が鑑賞後の実感としてスリラーな印象を抱かせるわけなんですけどね、これ、突飛過ぎる、と思った人も結構いるんじゃないか?と私は思ったり。
仕掛けは悪くないんですよ。
上手に騙しやがったな、と。
問題はその後のストーリーラインにあって。
そこまでやるような人物だったか?こいつ?と私はあまりの豹変ぶりに首を傾げた。
いやね、全く背景が描かれてないんですよね。
サイコパスならサイコパスでかまわないんですけど、それなりに「匂わせて」おいてくれないと、どうしても取って付けたような感触がついてまわる。
もうね、凄まじい残虐さ(血飛沫が飛びまくってるわけではないですが)なんですよ。
こんなの海千山千のシリアルキラーでもない限り無理だぞ・・・みたいな。
涼しい顔で凶行に及んでおきながら、相反して普通に日常生活も破綻なく送れるのはレクター博士ぐらいのもんだぞ!とあたしゃ思った。
早い話がキャラクター造形に現実味がないし、あとから都合の良いように「盛ってる」風に感じさせるんですよね。
もしどうしてもこのシナリオで成立させたいというのなら、まず先に外堀を埋めるべきだった、と私は思いますね。
方法はいくらでもあると思うんですよ。
関係者全部が実は普通じゃなかったとか、本当は凶状持ちだったとか。
エンディングはそれなりに気が利いてますが、中盤以降の経過に私は違和感しか感じなかったんで、冷めた目でしか受け止めることができずにいて。
胸糞映画だ、と言ってる人が多いですが「のれて」こその胸糞であって、この有様では「胸糞風」でしかないと思いますね。
中盤のどんでん返しで終了してしまった一作。
ホーム・アローン(1990)を悪趣味(ビター?)にした映画、などと言われてますが、引き合いにだすほどの完成度ではない、というのが結論。
ちなみに今回、ネタバレを避けようとするあまり、かなり遠回しな表現になってます。
ご理解を。
コロナ禍ゆえ、話題になったのでは?という気がしなくもありません。