アメリカ 2016
監督、脚本 ロブ・ゾンビ

強制的に12時間の「生き残りゲーム」に参加させられる5人の男女を描いたシチュエーションホラー。
あーついにロブ・ゾンビも化けの皮が剥がれたか、というのが正直な感想ですかね。
強制参加のサバイバルゲーム、というプロットからして今更感が非常に強いわけですが、私の場合、古き良きアメリカンホラーへの敬慕を全面に押し出してきたこれまでの作風はどうしちゃったの?ってのも少なからずあった。
前作、ロード・オブ・セイラム(2012)の興行成績があまり芳しくなかったものだから、ついに流行に迎合したか、などとどうしても勘ぐってしまう。
悲しいかな、迎合しきれてないんですけどね、実際は。
やっぱりね、この手の不条理ホラーで一番大事なのは「なにゆえそのような状況に登場人物は置かれたのか?」だと思うんですよ。
それがオチとして強烈に機能してこそ、荒唐無稽さも許容できる、ってなもので。
おかしな中世貴族の仮装をした連中のお遊びです、みたいないきさつじゃあ、法治国家で血肉飛び散る殺人ゲームなんて「ありえない」でおしまいですよ。
また次から次へと登場する殺戮者たちがどいつもこいつも笑わせたいのか?ってな連中ばかりで。
ピエロを気取るのは構いませんよ、でもそれがなんの狂気も怖さも秘めてなきゃ「ごっこ遊び」かよ、としか思えないわけで。
ケレン味たっぷりすぎ。
ま、殺戮者レベル4はそれなりに迫力あったんですが、たった一人でエンディングまで恐怖を維持できるほどのキャラでもなかったですしね。
あと、嫁をヒロインとしてキャスティングするのもいい加減にやめたほうがいい。
以前にも書きましたが、決して上手い人ってわけじゃないんだから。
きっと使いやすいんでしょうけどね、どうしたって身内贔屓でお茶を濁してるように写る。
さすがにここまで出演作が連続するとね。
溢れんばかりのホラー愛で至らなさをカバーし続けてきたロブ・ゾンビですが、ここが終着点かな、という気もしますね。
なにかが劇的に変わらないと多分もう何を撮っても同じだと思います。
マーダー・ライド・ショー2(2005)が頂点でしたね。
振り返るなら、マーダー2部作という特大のイレギュラーが彼の実力を誤解させたまま、ないものねだりをファンは続けてきたのかもしれません。
ま、私のことですけどね。