監督 大友啓史
原作 和月伸宏
さて私は非常に時代劇にはうるさい男ですので、原作の時点で全くうけつけなかった、というのは正直あるんです。
史実とか時代考証とか、当時の風俗、文化、突き詰めるなら、言葉遣いひとつとってもこれはファンタジーと解釈しなければ許容できない、と思ってはいたんです。
残念ながら映画本編もその部分に関しては改善されていません。
いや、そこまでジャンプを踏襲しなくてもいいのに、と思えてくるぐらい少年誌的テーゼ全開です。
あまりにキレイ過ぎる書き割りのようなセットも気になった。
私と同じような嗜好をもつ時代劇ファンにはあえてオススメは出来かねる、というのが正直なところです。
ところが、だ。
そんな忌避感をひっくり返すすごさがこの作品にはあって。
実はですね、この映画、それらマイナス要素を全部差し引いたとしてもお釣りがくるぐらい剣戟シーンがとんでもなかったりするんです。
いやもう冒頭から度肝を抜かれました。
早い。
見たこともないようなおそろしいスピードで殺陣が進行。
しかも主人公剣心役の佐藤健の身のこなしの軽さといったら、私はこれ、どこのカンフー映画か、と思いました。
もう釘付け。
調べてみたらこの映画のアクション監督の谷垣健治という人は香港動作特技演員公會に所属する唯一の日本人で、かのドニー・イェンと仕事もしているとか。
納得。
とりあえず日本の時代劇アクションに革命をおこす映像だと私は思いました。
それだけで見る価値あり。
余談ですが香川照之が相変わらず本当に嫌な役を見事に熱演してます。
須藤元気が出演してるのにもびっくりした。
ターゲットはおそらく当時のファン層だと思うんですけど、全く知らない人も、見て損をした、とはならない、と思います。
香港映画が好きな人には特におすすめ。