監督 ベン・スティラー
脚本 スティーブ・コンラッド
かの有名なアメリカのグラフ雑誌、LIFEの電子媒体化をめぐって、最後の表紙となる写真のネガをなくしてしまった男のドタバタを描いた作品。
元々はジェームズサーバーの短編「虹を掴む男」のリメイクらしいんですが、これが評判にたがわずいい出来で思わずにんまり。
物語中盤ぐらいまでは、主人公ウォルターの妄想をいちいち凝ったCGで、現実の延長みたいな感じで映像化するもんだから、実際にウォルターがグリーンランドにネガをもとめて出張していても、これも妄想なの?と勘ぐってしまい、戸惑う部分もありましたが、中盤以降からはこの作品、地に足をつけて急加速しだします。
ファンタジーテイストな側面は過分にありますが、冴えない写真管理部の中年男性がたった1枚のネガを追って世界中を単身冒険する展開は無条件で心躍ります。
私が最も印象的だったのは写真のネガのありかを知るであろう人物、写真家のショーンのセリフで「カメラが邪魔をする時もあるんだ」には心底痺れました。
世界各地を単身旅していくうちに徐々に主人公ウォルターの顔つきが変わっていく演出も見事。
またこの作品、もてない中年のささやかなラブストーリーでもあります。
この映画が語りかけていることはたったひとつ「どんな仕事でもプロ意識に徹して従事していれば、それが報われる日もある」です。
ちょっと疲れちゃった大人のための1本。
雑誌ライフの社訓「世界を見よ。危険に立ち向かえ。壁の裏側を見よ。もっと近づいて、お互いを知れ。それが人生の目的なのだから」が、視聴後、やたら胸に響きます。
ちょっと元気が出ますよ。
いやいやこりゃ傑作でしょう。