アメリカ 1977
監督 ハル・ニーダム
脚本 ジェームズ・リー・バレット、チャールズ・シャイア、アラン・マンデル
そういえばバート・レイノルズの主演作って、見たことがなかったなあ、と思い手にとった1作。
いやーもう、なんでしょう、すごかったですね、色んな意味で。
28時間以内に900キロ離れたテキサス州まで行き、ビールを積んで帰ってくれば8万ドルの報酬を出す、と資産家にふっかけられた主人公バンディットが、やってやろうじゃねえか!とばかり愛車トランザムに乗り込み、不眠不休で北米を縦断するお話なんですけど、いかにも70年代というかスター映画というか。
あんまり真面目に見ちゃあいけないんでしょうけど、これがかっこいい!とされた時代もあったんだなあ、って感じです。
日本で言うなら、トラック野郎(1975~)が人気を博したのと似たようなものなのかな?と思ったりもしたんですが、そっちの系統に詳しくないのでさっぱりわからないんですよね。
そもそも長距離ドライバーというか、流しの運転手みたいな存在が、ヒーロー視される感覚が私の場合、理解不能なわけでして。
いや、あれ、きっつい仕事だよ?満足に自宅へも帰れないよ?と考えてしまうのは世代的なものもあるのかもしれませんが、車に深い愛着や思い入れがない私の性向も災いしてるのかもしれません。
単純に派手なカーアクションは見てて楽しいんですけどね、バンディッドが行く先々で伝説のドライバーとしてトラッカーたちに歓迎、支援されるってのがなんだか別世界の出来事のようでして。
というのもバンディッド、時間通りに荷物を届けるため、あっちこっちで交通法規を無視してパトカーに追いかけられまくってるんです。
州境には非常線まではられている有様。
普通ならですよ、いかに伝説のドライバーとはいえ「そんなのに手を貸した日にゃあ、こっちにまで火の粉が降りかかるじゃねえか!」と二の足を踏みそうなものですよね。
ところが劇中では警察なんざクソ喰らえとばかり、各地の同業者たちが妨害工作に協力。
うまくいくことを祈ってるぜ、この借りは返せよバンディッド!ときたもんだ。
たぶんここで、こいつら全員かっこよすぎ!と思えないことにはダメなんだろうと思います。
えっ?暴走族映画?とか、首をかしげちゃったりしたらもうアウト。
あとはもう最後までそらぞらしさを噛みしめるだけ。
完全にとばっちりというか、全然関係ないのに執念で追いかけてくる保安官親子とか、散りばめられたコメディ色は悪くなかったし、笑えたんですけど、それ以外がどうにも真面目に見てられなかったですね。
アメリカでは大ヒットし、続編まで作られたらしいんですが、私の感覚ではバート・レイノルズはキャラありきで神輿に乗せられてるだけだな、って印象。
まあ、この手のタフガイというか男臭さが歓迎された時代は確実にあったと思うんで、うまくニーズに答えてた、ということなんでしょう、きっと。
同時代を生きていた人の思い出の中に生きる映画じゃないでしょうか。
この作品の良さを語るには、私じゃまだまだ年季が足りません。
若かりし日のサリー・フィールドがお茶目で可愛かったです。