1985年初出 望月峯太郎
講談社ヤンマガKC 全6巻
初読時、なんとも線が独特だなあ、とは思いましたね。
私は絵に詳しくないんで、どういう勉強をしてなんの影響をうければこういう作画になるのか、わからないんですけど、当時、こんな絵を描いてる人は居なかったことだけは確か。
漫画界のニューウェーブなんて呼ばれてたりもしましたが、わからなくはない。
妙な硬さがあるのに、流暢にも思えるのが個性的。
それは物語作りにも言えていて。
独特な屈折と、たわんだ竹が一気に跳ね返ったような瞬発的笑いがあるんです。
だってね、この物語って、今ならストーカーだとか、発達障害扱いされかねないと思うんですよ。
いや、主人公のカオルのことなんですけどね。
下手すりゃケースワーカーや警察がしゃしゃり出て来かねない。
それをラブコメにまとめあげちゃうんだからすごいというか、常軌を逸してるというか。
体裁はスポ根風なのに着地点がそこ?というのにも驚かされましたね。
恋愛という摩訶不思議な心の働きを、スレスレの狂気と笑いで彩ってみせた傑作でしょうね。
なにかと不寛容な今の時代だからこそ、興味深く読める漫画かもしれません。
おそらく作者の最高傑作。
私の知る限りではこのデビュー作を超える作品を望月峯太郎は描いてません。