2001年初出 木々津克久
講談社マガジンKC 1~2巻(全4巻)
多分作者の商業誌デビュー長編だと思うんですが、自信はないです。
人には見えぬ異形を見抜く目を持つ陽子と、民族学を専攻する田の中が遭遇する「怪異」を描いた連作シリーズ。
簡単に言っちゃうならいわゆる「心霊もの」ですね。
私が感心したのは怪異をただ恐怖の対象として描くだけでなく、何故このような現象を引き起こしているのかを多角的に考察、事件の真実に迫ろうとする理知的な探究心が常に保たれていること。
ああ、諸星大二郎的だ、とほくそ笑んだり。
少年誌だからというゆるさは全くなし。
これが後にフランケンふらん(2006~)へとつながるのか、と思うと納得だし、またここから凄い方向に舵を切ったな、とも思う。
残念なのは、技術的に拙なすぎて表現しようとしていることが伝わりにくいのと、作画が大変なことになっている、と言う点。
もともと絵の上手い人ではないと思うんですが、これはさすがにきつい。
作者の異端の才能はまだ開花してませんが、怪奇に対する目線が興味深い内容ではありますね。