アメリカ 2019
監督 ライアン・フレック&アンナ・ボーデン
しかしまあ、MCUはこれだけ多産なのにほんとハズさないなあ、と。
その一言ですね。
21作目ですよ、21作目。
やっぱりね、アベンジャーズが佳境を迎え、次のシーズンに突入しようかって時期に新キャラ投入って結構冒険だったのでは、と思うんですね。
だってファンは既存のヒーローの行く末にこそ注目してるわけで、こんな時に「うちの新人をひとつよろしく」って、タイミング悪すぎるだろう、って。
なのに普通に面白い。
わくわくしながら見れてしまう。
アベンジャーズにリンクするというコマーシャリズムのしたたかさはあるにせよ、単独作品として軽く水準以上の出来なのが驚かされますね。
だってね、設定は割と陳腐なんですよ。
あらすじだけ追うなら、80年代のスペースオペラかよ、っていいたくなるような古色蒼然とした宇宙戦争もの。
キャロル・ダンヴァースがキャプテン・マーベルと化すくだりもつっこみどころ満載ですしね。
なんなんだよ、ライトスピード・エンジンってよ!普通は即死だろうがよ!って話なわけだ。
なぜそうなる?と言い出したらほんとキリがない。
けれどそんな古臭さや幼稚さを、男社会に立ち向かう一人の女性の勇姿に焦点を当てた演出、細かなドラマ作り、適度なコミカルさ、迫力満点のVFXで監督はすべて封殺していく。
ミステリ風の展開も前半の進行を飽きさせない画策としては優秀だった。
それになんといっても圧巻だったのは終盤、覚醒後のマーベル大活躍のシークエンスでしょうね。
DCコミックのスーパーマンも腰をぬかさんばかりの無双ぶりにあたしゃ目が点。
もはや人間宇宙戦艦レベルの強さ。
かつてここまで人間離れしたヒーローが存在したか?と思えてくるほどに化物クラス。
なんかもうメーター振り切ってて逆に笑えてくるほどでしたね。
こういうことを本気で莫大な資金を投入して実写映画にしちゃうのがまさにマーベルの強みなんだろうなあ、と。
そりゃ全世界でヒットもするわ、と納得。
ただ、個人的に唯一不満だったのは、主演にキャスティングされたブリー・ラーソにいまいち華がないように思えたこと。
普通に街歩いてそうなんですよね、カリフォルニアとかフロリダとかで。
ニューヨークじゃねえな。
同じ女性ヒーローってことで、ワンダーウーマンのガル・ガドットと比較しちゃってるのかもしれませんが、できればもうすこしカリスマ性が欲しかったところ。
あえて等身大の女性ヒーローを狙ってるのかもしれませんけどね。
ま、どうあれ広く楽しめる一作であることは間違いないでしょうね。
2時間あっという間の秀作、いったいいつまでマーベルの快進撃は続くんだろう、と恐れ入る大作でございました。