ワンダーウーマン

アメリカ 2017
監督 パティ・ジェンキンス
脚本 アラン・ハインバーグ

ワンダーウーマン

まあ、こんなものかな、と。

ガル・ガドットが主演をつとめてなければ大変な事になっていたのでは、と思わなくもありません。

彼女の容姿端麗さにすべてが救われていた気がしますね。

普通の女優さんがこのコスチューム着て、ワンダーウーマンです、ってやっても絶対に似合わないでしょうし。

キャプテン・アメリカを見たときも思ったんですが、これ本当にみんなかっこいいと思ってる?と私は結構疑問で。

ピンクレディーの衣装となにが違うんだ、と。

今から歌って踊るのか?と。

原作ありきだから大胆な改変は出来ないんでしょうけど、このきわどさはガル・ガドットだからこそギリギリで珍妙にならずに済んでた気がしますね。

長い手足と均整の取れたプロポーションが安易なつっこみをはねのけてた、というのもあるでしょう。

実際、アクションシーンが見どころの大部分を担っているにもかかわらず、それほど本人の動きはシャープじゃないし、CGと実写を違和感なく融合させるにあたって詰めが甘い、しいてはそれが非人間的な動きを助長してて現実感に乏しい、と私は感じたんですが、177センチの完璧な八頭身が派手に動くだけで不思議と「絵」になっちゃうんですよね。

その点に関してはガドットに出演をオファーしたザック・スナイダーの慧眼を認めざるを得ないでしょうね。

で、監督の罪は、ガドットありきの作品なのに、ガドットを徹底して綺麗に撮ろうとしてないこと。

ちょっと油断すると不美人なショットがさり気なく紛れ込んでたりするんですよ。

戦闘シーンで彼女が全く汚れないのも大いに疑問。

地面を転がったり、壁突き破ったりしてるのにずっとピカピカでお風呂上がりみたいな感じ、ってどうなんだ?と。

薄汚れてボロボロなのになんだこの美しさは!みたいなシーンを撮ってこそより光るのは間違いないのに、なんでずっとお人形さんみたいな扱いなのか、私にはさっぱりわかりません。

執着がないんですよね、ガドットをどう撮るか、ということに関して。

素材任せにしてどうする、って話で。

それでもこれだけの仕上がりになってしまう、というのが旬の女優としての彼女の凄さだったりもするわけですが。

で、まあ、内容に関してはあえて言及するまでもないかと思うんですが、あえて書くなら、薄っぺらなヒロイックファンタジーかな、と。

いきなり「神々の子孫が住む女だけの島」とか言われてもついていけないですし。

設定の背景となるものが全くないんですよね。

もう完全に言ったもの勝ち、みたいな。

キャラクターの描き分けや心理描写も下手。

重要キャラであるスティーブが本当はどういうスパイなのか、最後の最後まできちんと伝わってきませんでしたし。

エンディングに至ってはご都合主義の極みで、甘ったるくて失笑してしまいそうになるオチも含め、子供だましもいいとこ。

今時ハイティーンでもこんなの真に受けないと思う。

また、ドイツ軍との戦場にワンダーウーマンを放り込むなら、せめて戦争における一個の人間兵器の役割とはなんなのか、じっくり思弁するぐらいはやってほしかったんですが、それもなし、ときた。

おのぼりさんが現実を知る物語としてこうも不手際重ねるか?と。

ということでこの記事の冒頭に話は戻る。

ガル・ガドット目当てで見る以上の価値はない、というのが私の結論。

なんかマーベルとどんどん差が開いていってないか?とちょっと思いましたね。

あと、この内容で2時間21分は長すぎ。

続編、決まってるみたいですが、監督交代したほうがいいような気がしなくもありません。

興行成績に気を良くしてこれでよし、と思ってるなら次はきっとボロがでるぞ。

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