アメリカ 2011
監督 コリン&グレッグ・ストラウス
脚本 ジョシュア・コーズ、リアム・オドネル
恐ろしく真正面から侵略SF。
高層マンションに仕事のレセプションで偶然集まった4人組が、突然現れた巨大宇宙船及び触手系エイリアンに襲われ、決死の脱出を試みる、というのがおおよそのあらすじなんですが、最大の難点はそれでストーリーはすべてになってしまう点でしょうね。
インディペンデンス・デイ(1996)やクローバー・フィールド(2008)を引き合いにだして感想書いてる方を多く見かけますが、もうとてもとてもそんなレベルにはないです。
登場人物、ただただ右往左往してるだけなんですね。
知恵を絞るとか工夫するとか、いわゆる「物事に対する冷静な考察」ってのが一切ない。
逃げ惑うか、閉じこるかのどちらかで、事態が好転するのをひたすら待ってるだけ。
死線をかいくぐるスリルもなければ、脱出劇としての醍醐味もない。
なんでこんな事になっちゃったのか、指摘するのは簡単で、マンションを舞台としたいのなら、脱出先に「希望」を設ける必要があったのに、マンションに居ようが外に出ようがどちらにせよダメ、と最初に「絶望」を突きつけちゃったから、なんですよね。
結局どこにもストーリーを運べなくて最後は屋上で袋小路、って誰が「死までのプロセスのみを描いたドラマ」を見たいんだ、って話で。
SFじゃなきゃ「病んでるのか?」って言いたくもなるポンコツぶり。
突如襲い来る理不尽な恐怖を描きながらですよ、見てて終盤までがやたら長く感じる、って相当だと思うんですよ。
そこはシナリオを担当した2人に猛省を促したいですね。
ただ、特殊撮影あがりの2人が監督を努めているせいもあってか、巨大宇宙船の降下シーン、及びエイリアンが人を捕獲するシーンはなかなかの迫力。
ちなみにデザインがハカイジュウそっくりでびっくりしたんですけど、まあこれはおそらく偶然の一致でしょうし、マンガ読まない人はわからないと思うので、この際よしとする。
巨大な昆虫っぽいエイリアンがわさわさビルの壁面を移動するのを見てたらなんとか間が持った、ってのが正直なところでしょうか。
それでしか間が持たないってのはもちろん問題なんですけどね。
あとはラストシーンですかね。
続編への意欲満々なのは結構なんですが、それをオチにしちゃいかんだろうと。
一旦終わらせた上で続編を匂わすのはかまいませんが、この状態では続編見ないとなにがどうなってるのか全然わかりません。
確実に作れるあてがあるならいいですけどね、あるのか?
VFXしか見どころのない映画、というのが結論ですかね。
せめて主人公カップルの絆をもう少しドラマチックに演出できていたらまた違ったんでしょうが、それもままならないですしね。
序盤は期待させるものがあったんですが、残念ながら凡庸かと。