アメリカ 2017
監督 アレックス・カーツマン
原案 アレックス・カーツマン、ジョン・スペイツ、ジェニー・ルメット

クラシックモンスターを現代によみがえらせる企画、ダークユニバースの第一弾作品。
遡るならハムナプトラ(1999)を飛び越えて、そのオリジナルはミイラ再生(1932)にまで行き着くわけですが、まあ別にどちらも未見で大丈夫かと。
つまるところミイラの女王が蘇って悪さをする、ってだけの話ですし。
元ネタ云々に言及するまでもなく、ちょいと映画史を紐解けば野ざらし同然に風化しかかってるようなプロットですよね。
そういやファラオの呪いとか80年代に流行ったなあ、なんて思い出したり。
怪異譚としてすら、もはや振り向く人も居ないのでは、と思えるような古典中の古典なわけです、ミイラの呪いなんて。
で、この作品がどうしようもないのは、古典を古典のまま現代的にアレンジする工夫を完全に放棄しちゃってること。
死の神と契約したから5000年の時を越えて蘇るんです、ってそんなのね、今時少年漫画でも通用しねえぞ、と。
さらに致命的なのは、シナリオライターが3人も居ながら「物語を紡ぐ」ということを根本的に理解してないこと。
すべてがね、素材のままなんです。
蘇ったミイラの女王。
ちょいワルな主人公。
なんかよくわからんけど、悪いやつを封じ込めてる超法規的組織。
組織に協力するヒロイン。
なぜかジキル博士とハイド氏まで登場。
すべてが「点」。
点どうしでちょいちょい突っつきあってるだけで、線になることもなければ絡むこともない。
ドラマ性皆無。
素材だけぎゅうぎゅうに皿に盛られたところで、調理してくれなきゃ、それを料理として美味しくいただくことなんてできないわけで。
セリフ回しのセンスの無さも目を覆いたくなるレベル。
肝心な場面であればあるほど登場人物たちは抽象的なことしか言わないんです。
何を目的として、誰が何をしようとして、主人公はどう立ち回ろうとし、ヒロインはその時、何を考えていたのか?なにもかもが全く伝わってこない。
私なんざ「宝石がついた剣」の役割が最後まで理解できなかった。
制作側の誰かの強権的な介入があって、編集でズタズタになってしまったのかもしれませんけどね、それにしてもこれはひどい。
楽しめたのは最初の30分だけでしたね。
トムの体を張ったアクションとミイラの女王を封じ込めた墓所のビジュアルにはゾクゾクさせられるものがありましたが、1時間ぐらい経過した時点で私が考えてたのは、いつになったら終わるんだろう、そろそろ風呂はいりたいんだけどな・・・でした。
また、ラストシーンがギャグとしか思えないデタラメさで。
今年見た映画の中じゃ間違いなくワースト1。
ぶっちぎりですね。
派手にデコレーションしとけばありきたりでもそれなりに見れるもんなんだよ、とでも考えてるのかもしれませんが、クソをきらびやかに飾ったところで腐臭はごまかせないぞ、とあたしゃ言いたい。
トムの熱演がただただ哀れでなりません。
カメラワークの素晴らしさに驚かされた部分もあったんでね、ほんと戦犯を吊し上げたい気分ですね、マジで誰だ?
そりゃ、北米で興行成績惨敗するわ。
第2弾、多分ないんだろうなあ・・・。