アメリカ 2016
監督 パコ・カベサス
脚本 マックス・ランディス

不思議ちゃん系でアッパーな性格のヒロインが、偶然付き合った男が実は世界的に有名な殺し屋だった、ってなあらすじのコメディ。
まあ、ハリウッドらしいプロットだな、と。
はっきり言ってシナリオは10手先まで読めます。
特にヒロインが、意外にも「殺しの才能に長けていた」と発覚するくだりに至っては、もうエンディングまで予想できた。
で、だいたい思った通りだったわけですけど。
ただ殺し屋を、ヒロインの前では至極ジェントルマンなんだけど、彼女が見てても平気で人を殺す性格破綻者として描いたことや、ヒロインがそんなぶっ壊れた男にさして大きなハードルを感じることなく最終的にはのっかってしまう尻軽として描いたことは予定調和の中にあってさえ、なかなか楽しめるものがありました。
禁忌をブラックに笑い飛ばす質感があるんですよね。
私は割とそういうのに弱い人でして。
「間」のとりかたもうまい。
わかっててもフフッと笑ってしまう、というか。
難点はせっかく自分の超人性に目覚めたヒロインの活躍するシーンがあまりにも少ないことでしょうか。
ヒロインが殺し屋顔負けの大活躍をすればSPY(2015)並の秀作になったと思うんですが、悪ノリを自分でセーブしちゃったのか、それともヒロイン役アナがアクション駄目な人だったのか、そこはカタルシスを得にくい仕上がり。
惜しい、っちゃー惜しいですね。
もっと面白くなった、と思えるだけに。
あと個人的に気になったのは、アナ・ケンドリック、彼女じゃないとマーサ役は無理だったの?という点。
私だけかもしれないですけどね、アナ、明石家さんまに見えて仕方がないんですよね。
助演で使う分には問題ない、と思うんですけど、主役を張るのはどうなんだと。
あちらじゃ評価の高い女優さんみたいですけどね。
総ずるなら、ありがちだけど悪くはない、ってところでしょうか。
日曜の夜にのんびり見るのにはちょうどいい感じ。