レディ・プレイヤー1

アメリカ 2018
監督 スティーブン・スピルバーグ
原作 アーネスト・クライン

レディ・プレイヤー1

どうでもいい話なんですが、私はこの映画、LADY PLAYERだとずっと思ってました。

ほほう、主人公はきっと女性なのだな、などと勝手に得心したり。

違った。

READY PLAYER ONEだった。

準備はいいか?一人目のプレイヤー君?みたいなことだったわけですな。

なるほどなあ・・。

何がだ。

で、肝心の内容なんですが、プロットそのものにさしたる新鮮味、意外性はありません。

体感型バーチャルリアリティ「オアシス」でゲームに興じる主人公が、現実世界をも巻き込んで宝探し、横槍を入れてくる悪辣な企業をも退けて仲間と冒険だ!てな感じなんですが、やっぱりね、誰もが予測しうる仮想現実な世界観は親しみやすさこそあれどSFとして創造性に乏しいし、ストーリーライティングもいかにもな若年層向けアドベンチャーで大方の着地点が読めてしまうんですよね。

ゲームに興じる主要登場人物たちがなんのバックボーンもないのにやたら機転がきいて知恵のある、できる連中ばかり、というのもなんだかなあ、って感じですし。

おまえらそこまでポテンシャル高いならゲームに依存しなくても充分現実世界で成功できるだろうが!と、ついつっこみたくなる。

主人公なんて冴えないオタだったはずなのに、いつの間にかオアシスのヒーローですもん。

海千山千の老獪なビジネスマンと真っ向からやりあったりする。

いや、それはないだろ、と。

ストーリー自体がどこか浮世離れしてるというか、悪い意味である種の定型なんですよね。

非常にライトノベルっぽい。

ところが、だ。

これが見てて普通に面白かったりするんで、おじさんは驚かされてしまうわけだ。

あんまり言いたくないんですが、これがスピルバーグのマジックなのか、と思わず考え込んでしまったり。

とりあえず映像の力はかなり大きかったように思います。

バーチャルリアリティをどう絵にするか、という点において、熟慮を重ねたデティールへのこだわり、空想のひらめきは随所にあったように思いますね。

遊び心全開なのに、それが嫌味になってないのも素晴らしい。

そりゃね、さすがの私もファーストガンダムとアイアン・ジャイアントが同じ絵に収まってたら腰ぬかしますよ。

さらにはかの名画、シャイニング(1980)のワンシーンがいきなり挿入されてきたときには正直、鳥肌たちましたし。

うおおおおおおおキューブリック監督!草葉の陰からごらんになってますかああああ!あなたの盟友、スピルバーグがあなたへの憧憬をこんな形で映画にしてますよおおおお!って、一人大興奮状態。

あ、だめだ、なんか私、あれこれ否定的なこと書きながらも完全に気持ちを持っていかれてるじゃないの。

言うなればこの映画ってとっ散らかったおもちゃ箱なんですけどね、そこになぜか整合性があるんですよね。

不要だと感じられる余剰箇所がないんです。

いやほんと、なんでだ?

恐るべしスピルバーグ。

70歳で若年層向けな冒険譚をVR空間メインに撮る、ってのがそもそも尋常じゃないし、それでいて同時にオッサン連中をも喜ばせる、ってんだから、もうほんとエンタメの申し子か、と。

全面降伏はしたくないんですけどね、これを面白くない、と言ってしまうとそれは嘘になってしまう、と思うんで。

男の子むけの映画だとは思うんですが、巨匠の底力をみた、そんな気にさせられた1本でしたね。

インディ・ジョーンズを大ヒットさせた腕は衰えてないな、と思ったりもしました。

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