1992年初出 巴啓祐
講談社モーニングKC

リアルタイムで読んでいないので当時の反響とか、評判とかまるで知らないのですが、こりゃマンガでは珍しくド級の怪獣SFだ、と、とても驚かされた1冊。
絵柄は露骨に大友克洋の影響下にあるように思いますが、いわゆる怪獣映画がほとんど死に体だった90年代初頭に、焼き直しの設定であっても、練られたプロットと科学を論拠とする多角的な考察があればまだまだ怪獣は恐怖せしめる存在である、としたアプローチは非常に斬新だったように思います。
衝撃のラストにも仰天。
商業誌でこんなオチにしちゃっていいのか、といらぬ心配をしてしまったほど。
いやお見事です。
著作はこの一冊だけのようですが、定価以上を支払ってでも読む価値は充分にあります。
本作、大枠でくくるならモンスターパニックものですが、同時に非常に優れたSFでもあります。
2014年のゴジラはこの作品を見習うべきだった、と痛感。
あまり知られていないようですが、こりゃ傑作でしょう。
これだけのものが描ける人がなぜ1作で消えてしまったのか、不思議でならないですよ、私は。
コメント
[…] なかなか神の獣みたいな怪獣漫画は出てこないもんですね、やっぱり。 […]