アメリカ/ドイツ 2011
監督 ジャウマ・コレット=セラ
脚本 オリバーブッチャー、スティーヴンコーンウェル
素直に「あっ」と、言わされた、と言うのはありますね。
異国の地で偶発的な事故にあった後、突然自分自身の存在を、妻にすら全部否定されてしまった植物学者が、自分はいったい誰なのかを求めて右往左往するシナリオはとても刺激的でスリリングでした。
なんとなくフランティックとか思い出しましたね。
事件の真相が二重オチになっているのもお見事。
いや、これは読めなかった。
ここまで完全に騙されたのは本当に久しぶりです。
きっちり計算して作られた優れたサスペンス、と言っていいと思います。
ただ個人的にはですね、最後の顛末を描いたシーンが少し余計だったかな、と思わなくもありません。
オチに触れてしまうので詳しくは書けませんが、事件の真相を振り返るならね、ああ良かったね、とはならないように思うんです。
だって主人公はアレだったわけですから。
アレな主人公が勝手に自己完結して次へ、って、都合よすぎやしませんか、と。
エンディングがもう少し毛色の違うものであったら2011年屈指の出来と絶賛することもやぶさかではなかったのですが、ハッピーエンドを求めたがためにドラマが浅薄になってしまったのは否めないように思います。
もったいないの一言。
見応え充分なのは確かではあるんですが。