チェコ共和国 2011
監督 ヤン・フジェベイク
脚本 ペトロ・ヤルホフスキー

少女に対する性的暴行の嫌疑をかけられたリハビリ医を描くサスペンス。
非常に丁寧にリハビリ医の家族関係や周辺の人物が描かれていて、物語は真相を追いながらもその関係性が自然にわかる作りになっており、構成力は申し分ないように思います。
あと、とても美しい絵を撮る監督だな、と思いましたね。
特に、オープニング、湖に沈む夕日を背景に、憂いに満ちた女の表情をアップで撮ったショットは強く記憶に残るものがあります。
このシーンが、後に重要な場面で再度使われる、とあってはなおさら。
あっ、と驚く展開が待ち受けてることは確かです。
ただ、その展開がですね、私の中では前半と上手につながらなかった、と言うのはあった。
惜しいのは伏線の張り方、ただその一点だと思います。
ほんの少しでよかったんです。
リハビリ医が家族にひた隠しにしている本当の秘密とは一体なんだったのか、それを、ああ、アレがそうだったのか!と後々納得できるシーンが、数秒でいいんで欲しかった。
突然、全然違う話につながっちゃうような印象をどうしても受けちゃうんですよね。
結局この作品が描こうとしているのは家族にボケ老人がいようが障害児がいようがとどまることを知らぬ下半身の節操のなさだと思うんですが、それを唯一正当化できたのは無垢な少女の夢見がちな妄想だった、と結論づけたのはすごい皮肉だった気がしますね。
オリンカを描写したエンディングは薄ら寒いものがあります。
じっくり練られた大作だと思いますが、あんまり後味はよくないんでご注意。
なんかもーひたすらねーかわいそうでしたね、あの人が。
さっさと割り切って行動起こせよ、と言う人もいるかもしれませんけどね。
あの人が誰かは書けません。
ご覧になってお確かめください。