カナダ 2010
監督、脚本 グサヴィエ・ドラン
正直中盤ぐらいまでは立ち上がりが遅いなあ、なかなか話が進まないなあ、なんて思ってたんです。
ドキュメンタリー風に、物語とは直接関係のない人物の独白がちょくちょくはさまれるのも、変に集中力をそがれて私はあんまり好きになれませんでした。
ストーリーがぐいっ、と動き出すのは中盤以降。
仲良し3人組に恋愛感情が割り込んできてその関係が破綻していく様が描かれているわけですが、私にとって斬新だったのはゲイであるフランシスと、マリーのニコラに寄せる感情が過不足なくイーブンに描かれている点でした。
多くの物語はやっぱり同性愛を異端として描きがちだと思うんです。
もしくは同性愛のみをピックアップしてその殻の中に閉じこもってしまうか。
この作品が優れている、と感じられたのは、男であろうと女であろうと人を好きになる気持ちは同じでしょう、と肩の力を抜いて語っている点。
変にかまえてないんですよね。
それを集約したかのようなラストシーンもお見事。
まさかこの手の作品でクスッ、と微笑まされるとは思わなかった。
語弊があるかもしれませんが、私はとてもかわいい映画だ、と思いました。
もうちょっとストーリーに起伏があってもいいよ、などと思ったりもしましたが、若き天才の名に恥じぬ1本ではあった、と思います。
役者としてのドランもますます表現力豊かで脱帽。