生殖の碑

2017年初出 あさりよしとお
白泉社楽園コミックス

見ず知らずの女の子から、突然生殖しないか?と持ちかけられ、慌てふためく童貞男子高校生を描いたSFコメディ。

で、何がSFなのか?というと、やたら積極的な女の子が、どうも人間じゃないみたい・・・と設定されてること。

作画上ではかわいいなりに蜘蛛人間のような見かけです。

頭の中がエロいことでいっぱいな男子高校生としては、ぜひとも据え膳にあずかりたいところであるが、人あらざる何かと事に及ぶことの恐ろしさもあって、ひたすら悩みあぐねるわけですな。

そこに自分が狙われてる!と勘違いする図書委員の女子や、なにやら人外の気配がする、と首を突っ込んでくる寺の息子とかが絡んできて、ストーリーはドタバタ喜劇の様相に、というパターン。

作者お得意の手口ですね。

あらすじだけ読んでるとエロコメみたいですが、そこはあさりよしとおですんで、露骨な扇情的描写はありません。

エロは状況設定のおかしさで笑わせるためのスパイスにすぎません。

なんだろ、蜘蛛だけに最後はオスが喰われてしまうのかな?しかし、それはそれでかなりブラックだなあ、と思ったりしてたんですが、どうやらこの物語はハル・クレメントの20億の針がヒントになってるみたいで。

最終話を読んだあとで、なんだよ、きっちりSFじゃねえかよ、とあたしゃ笑ってしまった。

らしい、ですね。

本当にあさりよしとおはいい意味で変わらない。

ただ、オチが弱いなあ、と感じる部分もあって。

ちょっと読者の想像力に任せ過ぎな気も。

ファンは満足かもしれませんが、このままニッチなポジションに居座り続けるのも先細りなのでは・・・と思わなくもありません。

ぱっとしない、と言ってしまえばそれまでですが、こういう漫画を描く人が今は本当に居ないんで、希少性を考えるなら、どう評価していいやら悩むところ。

そろそろ長編が読みたい、とも思うんですが、色々難しいんでしょうかねえ。

戦国機甲伝クニトリ(2016~)もすぐに終わっちゃったしなあ・・・。

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