1991年初出 森脇真末味
小学館プチフラワーコミックス 全2巻
極ジャンプ後の地球を描いた近未来SF。
ギミックやガジェットに期待すると肩すかしを食らいますが、マンガで「極ジャンプ」なんて概念を設定とした作品は珍しい、とは思いますね。
時空生物なんてのも登場してきて、SFファンの嗜好をくすぐる展開が後半に待ち受けてたりするんですが、大きくはいつもの森脇作品で、どっちかというと錯綜する人間関係のドラマを楽しむ感じ。
物語の枠組みはSFなんですが、質的には本作以前に作者が発表してきた作品群と路線を違えるものではないですね。
そこはもう全然ブレてないです。
口の悪い人はマンネリとか言うかも知れないけど、私はこれでいいと思う。
他に似たようなことをやってる漫画家はいないんだし。
唯一ひっかかったのはイマジネーションの膨らまない作画。
設定が壮大な割には、見知らぬ世界の描写とは思えない地味さが難点と言えば難点。
風呂敷広げすぎて手に負えてないような感触も。
肝心のオチも、今ひとつすっきりしないような。
あまり本格的なSFより「少し不思議」ぐらいがちょうどいいのかも知れません。
野心的ではありますが、どちらかといえばファン向けかも。