アメリカ/オランダ 2015
監督、脚本 トム・シックス

そもそも「人間を外科的に連結する」というネタだけで3部作を作ろうという試み自体に無理があったのでは、とすら思えてくるシリーズ最終作。
結論から言ってしまうと、この作品、シリーズ中一番ダメなのでは、と思います。
この連作って、言うなればですね、何をやろうとしてるのか、作品を見る前から観客はわかってるわけですよね。
2作目は1作目を劇中劇として扱うことで、そのおぞましさをエスカレートさせ、同じネタであるにもかかわらず目を背けたくなるような変態スラッシャームービーとしてリブートに成功したわけですが、じゃあその続編をどうするのか、と考えた時、もっと数を増やして500人つなげてしまおう、というのはやっぱりどこか微妙にベクトルが違うのでは?と私は思うわけです。
単純な足し算が内容を底上げするのなら映画製作も苦労しないわけで。
刑務所で繰り広げられる所長と会計士のドタバタ劇もあまりの雑さ、荒唐無稽さにただただ辟易でしたし。
アメリカには民間が運営する刑務所があるらしいんですが、だからと言ってこれはさすがにやりすぎだろう、と。
もうほとんどコント寸前なんですよね。
というか、私は3作目にしてブラックな笑いを追及する方向にシフトしたのか?と真剣に悩んだ。
でも笑いを追及するにしちゃあ、演出が中途半端にスプラッターでグロな方向に色気を見せたままですし。
結局「500人連結」を見せるがための内容に終始しちゃってるんですよね。
それって映画ではなく、見世物小屋とかびっくり人間大集合とか、そっちの発想だと思うんです。
過去の出演陣が勢ぞろいした集大成的作品ではありますが、ただグロいだけ、醜悪なだけのスケールアップをホラーとは呼ばない、と思う次第。
せっかくトム・シックス本人が出演したりとメタな展開もあったのに、それを生かせなかったのはタイトルに囚われすぎたがためか、2の成功に気をよくして兜の緒がゆるんじゃったのか。
テンション高いのは監督だけ、という気がしてなりません。